2019 Fiscal Year Annual Research Report
Post-GWAS analysis of endometriosis: exploration of transcriptional regulation through chromatin interaction
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17K08688
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
中岡 博史 国立遺伝学研究所, ゲノム・進化研究系, 助教 (70611193)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 子宮内膜症 / 正常子宮内膜 / 転写制御 / 体細胞変異 / がん関連遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮内膜症は生殖年齢にある女性の約10%に認められる疾患であるが、発症原因は未だ不明である。我々を含め、複数の研究グループによるGWASが実施され、9p21領域、WNT4領域、IL1A領域など複数領域が同定されている。我々は次世代シーケンサーを用い、SNPアレルに応じて変化するクロマチン3次元構造を検出する手法を開発し、9p21領域の子宮内膜症感受性SNPによって、転写因子結合からクロマチン相互作用を介して遺伝子発現に至る一連の転写制御プロセスに、アレル間不均衡が生じていることを実証した。さらに、子宮内膜症GWASで同定された他の感受性領域における発現調節機構を明らかにした。 また、我々は子宮内膜関連疾患の発症機序を考える上で、起源となる内膜機能層腺上皮細胞のゲノム特性を明らかにすることが重要であると考えた。腺上皮細胞は管状構造を呈して発達していることに着目し、腺上皮細胞を管単位で分離する実験手法を確立し、単一腺管レベルという最小機能単位でDNAシーケンスを行った。結果として、子宮内膜から採取した腺管において、PIK3CAやKRASを含むがん遺伝子に体細胞変異が多数検出された。驚くべきことに、各腺管で保有する変異はクローナルな状態に達していたが、腺管ごとに異なる体細胞変異を保有していた。その結果、腺管の集合体である内膜組織はゲノムがモザイク状態を呈していた。さらに、子宮内膜症病変の上皮細胞において、同様の癌関連遺伝子に体細胞変異が認められた。これは、モザイク状ゲノムを呈する子宮内膜が月経血逆流を介して卵巣に生着・増殖する過程で、KRAS変異を有する腺上皮細胞が生存に有利となり、クローナルに増殖した結果、子宮内膜症発症に繋がったことを示唆している。さらに、単一腺管レベルという最小機能単位でのRNAseqによる網羅的遺伝子発現解析を実施した。
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