2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K08691
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
味岡 洋一 新潟大学, 医歯学系, 教授 (80222610)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若井 俊文 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50372470)
岩渕 三哉 新潟大学, 医歯学系, 教授 (70143766)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 大腸癌 / de novo癌 / 発生メカニズム / DNA損傷応答 / 遺伝子関連タンパク / 免疫染色 / 遺伝子解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
大腸癌の発生について、組織発生の観点からは、①腺腫の癌化、②de novo発癌、③serrated polyp pathway、④炎症性発癌、の4つの経路がある。他方、分子メカニズムの観点からは、染色体不安定性(CIN)経路、マイクロサテライト不安定性 (MSI)経路、CpG island methylation陽性 (CIMP)経路の3つが明らかにされている。本研究では、②de novo発癌の発生に関わる分子メカニズムを明らかにすることを目的とした。 平成29年度は、対象となるde novo癌を抽出するため、外科切除ホルマリン固定大腸pT1 (粘膜下層浸潤癌)を対象としてその病理形態学的検討を行った。外科切除pT1癌は1,172例あり、その全例の全割HE染色標本が作成されていた。それらのHE標本の光顕観察を行い、粘膜内病変部が残存し、かつ同部が癌のみからなるものをde novo癌と定義して、対象母集団を抽出した。その結果、de novo癌は350例抽出されたが、組織発生を検討するため、10mm以下の小癌に絞って検索した結果、対象例は57例であった。57例は全例が肉眼的には表面隆起・平坦・陥凹、もしくはそれらの複合型であり、癌組織型は高分化腺癌であったが、細胞異型度の観点からは低異型度癌と高異型度癌とがほぼ半数を占めた。次年度以降に予定している免疫組織学的、および遺伝子学的評価のための材料作成として、57例のHE染色標本画像をバーチャルスライドに取り込み、残存粘膜内癌部と粘膜下層浸潤部とのマッピングを行った。また57例の未染標本を作製た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究遂行のためには、de novo発生として矛盾しない病理組織学的特徴を示した癌を厳密に抽出する必要がある。そのためには、多数例を対象とした詳細な病理組織学的検索から、一定数のde novo癌を検討対象として得ることが不可欠となる。本年度の研究成果として、50例以上のde novo癌の検討はこれまでに報告がなく、材料選択の観点からは十分な進捗状況と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
検討対象として十分数のde novo癌が得られたことから、今後は、それらの癌の粘膜内部および粘膜下層浸潤部を対象に、予定していた遺伝子関連蛋白発現の免疫組織学的評価、DNA二重鎖切断およびその修復応答に関する蛍光免疫染色学的評価、p53, RAS, 等の大腸癌の発生と進展に関与しているとされている遺伝子の解析を進めてゆく予定である。
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Research Products
(5 results)