2019 Fiscal Year Research-status Report
子宮癌肉腫の癌幹細胞化の誘導・維持機構における癌肉腫・間質相互作用のダイナミズム
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17K08703
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
三枝 信 北里大学, 医学部, 教授 (00265711)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | S100A4 / NMIIA / 子宮癌肉腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、S100A4が子宮癌肉腫の発生・進展に大きく寄与することが明らかになった。一般に、S100A4自体には酵素活性がないといわれており,その機能を発揮するには細胞内および細胞外タンパク質との相互作用が必要である。そこで、S100A4と関係するタンパク質を同定するために,ショットガンプロテオミクスを行った.内因性S100A4をノックダウンしたIshikawa細胞では480個,外因性にS100A4を過剰発現させたHec6で、549個のプロテオフォームを見出した。階層的クラスタリングの結果,これらの候補は6つに分類でき.グループIとVにおいて,Caイオン存在下に見いだされたプロテオフォームと合致するペプチドが多く含まれていた。一方,Ishikawa細胞とHec6細胞にEGTA(Caキレート剤)処置をした場合では,このような傾向は認めなかった。さらに、ボルケーノプロットの結果,Ishikawa細胞では11個,Hec6細胞では21個のプロテオフォームが同定された.これら結果から,S100A4結合パートナー分子としてNMⅡA(MYH9)とNMⅡCを見出した。今後、S100A4とNMIIAの相互関係による子宮癌肉腫の発生機構について検索を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ショットガンプロテオミックス法で、タンパクの調整に問題が生じ、正確な解析結果を得るまでに時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
S100A4/NMII カスケードによるがん肉腫幹細胞化の分子機構の解明。1)S100A4発現制御系の機能解析<方法>S100A4発現機構とその機能を明らかにするため、①子宮がん肉腫の臨床検体で、免疫組織学的にS100A4発現細胞をがん肉腫細胞とその周囲の間質細胞を含めて検証する。②子宮内膜がん細胞でS100A4遺伝子の転写に影響を及ぼす分子を網羅的に解析する。具体的には、既に作製した子宮内膜がん細胞のS100A4過剰発現系・ノックダウン系で、S100A4発現変化に伴う細胞増殖能の変化、移動能の変化、及び形態変化を位相差顕微鏡観察で検証する。2)がん成分におけるNMIIの機能解析<方法>研究代表者が本実験系でS100A4のパートナー分子として同定したNMIIの機能解析を、その過剰発現・ノックダウン系、及びNMIIのATP活性阻害剤であるblebbistation 処理により、細胞形態、移動能、増殖能に及ぼす影響の観点から検証する。3)S100A4/NMII カスケードとEMT/がん肉腫幹細胞化誘導機構の解析<方法>S100A4/NMII カスケードによるEMT/がん肉腫幹細胞化への影響を、子宮内膜がん細胞のS100A4またはNMIIA過剰発現・ノックダウン系細胞株で、① 細胞形態の経時的変化、② EMT関連分子マーカーの発現変化、③がん幹細胞検出アッセイ系によるがん幹細胞分画・検出、④Spheroid形成能、⑤各種がん幹細胞関連マーカー発現を検証する。
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Causes of Carryover |
研究が予定通りに進まず、研究自体の停滞のために次年度使用額が生じた。今後、本金額を最終段階の研究予定に組み込む。
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