2019 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular Pathological Analysis in Salivary Duct Carcinoma from the perspective on the Development of the Personalized Treatments: A Large Multicenter Cooperative Study.
Project/Area Number |
17K08705
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
長尾 俊孝 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (90276709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田 雄一郎 国際医療福祉大学, 医学部, 准教授 (70292430)
山崎 一人 帝京大学, 医学部, 教授 (60302519)
平井 秀明 東京医科大学, 医学部, 助教 (00770744)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 唾液腺癌 / バイオマーカー / 予後 / 唾液腺導管癌 / HER2 / AR / TP53 / 人体病理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
唾液腺導管癌(salivary duct carcinoma: SDC)は希少癌であり、予後解析まで行えうる多数例を集めた検討はほとんどなされていなかった。我々は、SDC多施設共同研究を発足させ、約150例の病理組織学的、免疫組織化学的、および遺伝子変異解析を行った。 病理組織学的解析で、高度の核多形性、核分裂像、低分化胞巣、静脈侵襲は予後不良因子であり、これらを組み合わせた組織学的リスク分類は予後と強い相関を示した。また、免疫組織化学的検討でAR低発現、FOXA1低発現、p-Akt低発現、cytokeratin 5/6高発現、adipophilin高発現、およびp53-extreme nagative/positiveが予後不良因子となりうることを報告した。遺伝子変異解析では、TP53 truncating mutationsが予後不良因子として同定された。 乳癌では免疫染色の発現様式によるサブタイプ分類が提唱され、予後の推定や治療薬剤の選択に有用であることが認知されている。我々は、乳癌に倣い、新たにAR、HER2、Ki-67の発現様式によりSDCを5つのサブタイプに分類した。予後解析では、‘apocrine A’(AR+/HER2-/Ki-67-low)が他のサブタイプより無病生存期間が有意に長かった。 上記分類をもとに、AR陽性例に対し複合アンドロゲン遮断療法(CAB療法)を、HER2陽性例に対し抗HER2療法を、選択することが適していると仮定し、切除不能・再発転移SDCに対して、臨床第II相試験を行った。従来の化学療法と比べ、CAB療法は同等の治療効果ながら、有害事象が著明に軽微であった。抗HER2療法は、化学療法に比べ治療効果が高く、しかも有害事象がやや少ないことが判明した。今後は、科学的根拠を基にして治療選択を行うために、それぞれの治療の効果予測因子の探索が望まれる。
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