2018 Fiscal Year Research-status Report
早期乳癌の検診過剰診断抑制および複合免疫非侵襲的治療へ向けた臨床病理学的基盤研究
Project/Area Number |
17K08707
|
Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
山口 倫 久留米大学, 医学部, 准教授 (10309750)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | HER2陽性乳癌 / 腫瘍周囲リンパ球浸潤 / Comedo壊死 / Androgen receptor |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画で示した、進行乳癌治療領域において、癌微小環境における免疫応答の臨床的応用 (免疫療法) がトピックになっており、昨年に引き続きHER2陽性乳癌における、腫瘍周囲リンパ球浸潤や他の臨床病理学的特徴の研究に重点を置き、詳細を詰めている。 HER2陽性乳癌はER陽性とER陰性群に分かれるが、両者は、 (1) 形態学的にも異なる群である:ER陽性→鋸歯状形状を有する腫瘍が多い, ER陰性→Comedo壊死を有する乳管内癌主体の癌が多い (縦横非の低い腫瘍形状を示す)。 (2) 腫瘍周囲リンパ球浸潤の多寡:ER陰性 > ER陽性であり、ER陰性群が有意に免疫応答を示す群である。 (3) HER2が 瀰漫性に陽性を示す3+群はER陰性に多く、2+を示す症例は有意にER陽性群に多いということがわかった。このことはHER2陽性のコンパニオン診断においても非常に有用と思われる。 また、HER2陽性乳癌も遺伝子学的に幾つかの群に分かれることが報告されており、我々の研究でも少なくとも、ER陰性群とER陽性群が大きく異なることがわかったが、この2群間でのHER2陽性例の治療反応性とAndrogen receptor AR) との関連性を検討した。 【対象と方法】術前補助療法が施行されたHER2陽性浸潤癌60例を対象とした。ARの発現と治療効果との関連を検討した。【結果】AR陽性症例の病理学的完全寛解はAR陰性症例と比較して有意に高かった。サブグループ間では、ER陽性群におけるAR陽性症例の病理学的完全寛解は、ともにAR陰性症例と比較して有意に高かった。一方、NLH群におけるAR陽性症例の病理学的完全寛解に有意差はなかった。 【結語】ARの高発現はHER2陽性乳癌において、LH群、NLH群ともに治療効果予測因子として有用である可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、上記の研究を論文にまとめ投稿し、改訂中である。 上記3に関しては、更なる論文を作成している。
|
Strategy for Future Research Activity |
HER2陽性乳癌も遺伝子学的に幾つかの群に分かれることが報告されており、我々の研究でも少なくとも、ER陰性群とER陽性群が大きく異なることがわかった。この2群でのHER2陽性例の治療反応性にどのようなマーカーが関わっているかを検討を行った。その中で、Androgen receptorとの関連性を示し、本年の乳癌学会シンポジウムで発表予定である。これらの検討を進め論文化する予定である。
|
Causes of Carryover |
データをより客観性を示すために必要となった、研究協力者の赤司桃子先生用の顕微鏡デジタルカメラの購入が予定外であり、予想の使用額との差異が生じました。 次年度使用額に関しましては、抗体などの消耗品の追加が生じた場合の購入費、英文校正費、論文掲載費、学会報告のための出張費などに充てたいと計画しています。
|
Research Products
(17 results)