2019 Fiscal Year Research-status Report
乳癌特異的ストレスシグナルとしてのDJ-1の構造解析
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17K08708
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Research Institution | Sasaki Foundation |
Principal Investigator |
岩屋 啓一 公益財団法人佐々木研究所, 附属研究所, 研究員(移行) (50312012)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河手 敬彦 東京医科大学, 医学部, 助教 (30532303)
田辺 真彦 順天堂大学, 医学部, 非常勤講師 (30572333)
河野 勤 公益財団法人佐々木研究所, 附属研究所, 研究員(移行) (80506064)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 酸化ストレス / 質量分析 / 乳癌 / 婦人科癌 / 品質管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
DJ-1蛋白質の発現様式、修飾、あるいはmRNAの発現量についての詳細な検討を行うには、臨床検体の高い質を確保することが必要である。再現性のある臨床研究を公正に実施するためにも、病院全体のシステムとして質の高いバイオマテリアルを蓄積し、臨床データを紐付けするクリニカルバンクの基盤整備を行った。標本の質の要素のなかで、阻血性変化を極力抑えるために、手術検体については標本が取れてから15分以内にイソペンタンを用いた急速冷凍を行い、-80℃で保存した。ホルマリン固定については、組織の質や厚さを加味して固定条件を厳密に管理した。さらに、検体間のコンタミネーションの問題を乗り越えるために、細胞を通さない梱包素材の開発を行った。この素材を用いて小さなポケットを作り(μsheet pocket)、バイオマテリアルを包み込むコンタミネーション防止対策を、実際の日常業務で実施している。μSPは国内の特許申請を終え、国際的なゲノム医療、ゲノム診療の安全かつ確実な実現の一助となるべく、国際(PCT)出願を行った。 以上の基盤整備がほぼ終了し、質の高い臨床検体が蓄積してきた。DJ-1の研究体制を再構築する段階と判断し、DJ-1の構造解析を再開した。その基礎作業としてDJ-1蛋白質のトリプシン消化によるペプチド断片の回収率の改善を行った。この検討のなかで疎水性ペプチドのイオン化効率が上昇し、C106を含むペプチドマッピングに成功した。また、MALDI 質量分析器を駆使して(Matrix-assisted laser desorption/ionization in-source decay)、消化ペプチド断片のアミノ酸配列を読み取る技術を獲得した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
SARS-CoV-2のパンデミックに対応する検査体制を構築するため、下四半期は研究の中断を余儀なくされた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までのデータを踏まえ、DJ-1が過剰発現し、軽度の酸化が起こった状態が、癌としての増殖を促すシグナルである可能性を考える。軽度の酸化状態を検出する実験系を構築中である。 研究期間の最終年度にあたり、研究を加速させ、DJ-1の酸化が癌化のメカニズムに関与する可能性を証明する。
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Causes of Carryover |
ss
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