2017 Fiscal Year Research-status Report
浸透圧応答性転写因子NFATに着目した膠芽腫の壊死周囲微小環境の病態解析
Project/Area Number |
17K08721
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
木村 徳宏 山口大学, 大学院医学系研究科, 講師 (40445200)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 栄二 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (30232177)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 病理学 / 脳腫瘍 / 膠芽腫 / 浸透圧 / 微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はまず、ヒト膠芽腫由来細胞株T98G, U87等を用いて、細胞を高浸透圧(500 mOsm/l)の培養液に曝露した時のNFATファミリー分子群(NFATc1, NFATc2, NFATc3, NFATc4, NFAT5)の発現量(mRNAレベル)の変化をリアルタイムRT-PCR法で検討した。T98G, U87では、曝露後3時間でNFAT5発現量が上昇し始め、以後48時間まで上昇していた。U87ではNFATc1発現量の上昇も見られた。他のNFATsには大きな変動は認めず、NFAT5、場合によってはNFATc1が高浸透圧応答性NFATであると考えられた。他のグリオーマ細胞株(U251MG, YKG-1)およびHeLaにおいても、高浸透圧に応答してNFAT5発現量の増加を認めた。次に、高浸透圧以外の細胞へのストレス因子として、血清欠乏、低酸素、低pHをとりあげ、これらに対するNFAT発現変化をT98G, U87を用いて検討した。無血清培地で培養するとNFATc4とNFATc2の発現が上昇し、1%酸素環境下で培養するとNFATc4の発現が上昇した。また、培地をpH 6とした場合には、U87ではNFATc4の上昇を認めた。これらの結果から、ストレス因子の種類により応答するNFAT分子種が異なり、主としてNFAT5が高浸透圧、NFATc4がそれ以外のストレスに応答している可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト膠芽腫細胞株におけるNFATファミリー分子群の高浸透圧への反応性について、mRNAレベルのデータを順調に得ることができた。また、高浸透圧以外のストレス因子への反応性についても興味深いデータが得られた。
|
Strategy for Future Research Activity |
NFATファミリー分子群の高浸透圧およびそれ以外のストレス因子への反応性について、タンパク質レベルの検討を行う。膠芽腫細胞株を用い、死細胞から放出される物質の生細胞に与える影響を検討するためのin vitro壊死周囲微小環境モデルを開発し、NFATの応答を調べる。
|
Causes of Carryover |
NFATファミリー分子群のタンパク質レベルでの解析が次年度にずれこんだため。次年度にタンパク質レベルでの解析を行う予定なので、それに使用する。
|