2017 Fiscal Year Research-status Report
Regulation of Hodgkin lymphoma cell differentiation by reactive oxygen species
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17K08728
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
堀江 良一 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (80229228)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ホジキンリンパ腫 / 活性酸素種 / 細胞分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
ホジキンリンパ腫(HL)細胞株を用い、培養液に活性酸素種(ROS)の一つである過酸化水素を添加して培養し、サイトスピンによりスライドグラスの上に固定後、ギムザ染色による細胞の形態の観察、さらにフローサイトメトリーを用いたDNAヒストグラム解析を行った。コントロールとしてB細胞株Namalwa、T細胞株Jurkatを用いた。HL細胞株はいずれも細胞が大型化し、多核、多倍体の細胞の増加を認めた。一方コントロールのT、B細胞株では大部分が細胞死を起こした。 フローサイトメトリーにより分離したHL細胞株の未分化な分画(SP)と分化した分画(MP)においてROS活性を測定したところ、MPはSPよりも高い活性を示した。ミトコンドリアTCAサイクル活性の検討では、MPはSPよりも高い活性を示した。ミトコンドリアの総量自体はSPとMPにおいて差は認められなかった。ROSの抑制に関わるHIF-1やヘムオキシゲナーゼ(HO-1)はSPにおいてより高い活性を示した。さらにSPをHO-1阻害薬で処理すると細胞が大型化して一部多核の分化した形態を有する細胞が出現した。 以上の結果からHL細胞の分化誘導にROSが関与している事、T、B細胞ではROSによる分化を認めず細胞死を誘発したことから、ROSによる分化はHL細胞の特徴の一つである事が示唆された。一方未分化なHL細胞ではHIF-1やHO-1によりROS活性の抑制を通して未分化の維持がなされていると考えられた。ROSの産生源としてはミトコンドリアが考えられ、好気的呼吸に関わるTCAサイクル活性の上昇がMPでのROS亢進を反映していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予備実験で得られていた結果が確認され、他のデータもほぼ予定通りに取得できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
Gene Set Enrichment Analysis (GSEA)をホジキンリンパ腫(HL)細胞株KMH2、L428に対して行い、未分化な分画(SP)と分化した分画(MP)での遺伝子発現についてパスウエイ解析を行い、差のある分子群の抽出を行う。HL細胞株のSPで低酸素下にて誘導される遺伝子群の発現亢進を制御する分子としてのHIF-1の検討を行う。すでに実施したアレイ解析の結果に基づき、SPにおいて上昇している分子として同定されているヘムオキシゲナーゼ(HO-1)、SPにおける低酸素下で誘導される遺伝子群の発現亢進を制御する分子としてHIF-1を想定して、それらの発現を確認する実験を行う。これらの遺伝子のSP、MPにおける発現について、蛍光免疫染色やウエスタン法を用いたタンパクレベルでの解析を行う。さらにHL臨床検体を用いて免疫染色を行い、これらの分子の発現細胞が小型なのか、大型あるいは多核細胞なのかについて検討を行う。 以上をもとにしてHL細胞の分化と活性酸素、ミトコンドリアとの関係、低酸素環境の模倣に関わるシグナル、ヘムオキシゲナーゼの誘導との関係を検討、次年度以降の分子レベルでの検討へと展開させる。
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Causes of Carryover |
利用している施設に火災があり実験が一部翌年に持ち越されるため及び3月に使用した研究費がまだ反映していないため。
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Research Products
(5 results)