2017 Fiscal Year Research-status Report
非小細胞性肺癌患者における術後補助化学療法の効果予測因子の獲得とその有用性の確認
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17K08729
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
佐藤 雄一 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (30178793)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 肺癌 / 術後補助化学療法 / 治療効果予測マーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
1.症例をさらに30例をリストアップし、臨床病理学的因子や再発までの期間や死亡までの期間の検討を行った。これまで、ブロックの存在が確認された114例の薄切標本を準備済み。 2.報告済みの予後予測マーカーの免疫染色:①S100A16タンパク質に関しては肺腺癌の外科摘出症例における検討を行い報告した (Hum Pathol 74: 148-155, 2018)。さらに、S100A16に関しては腺癌を対象に術後補助化学療法症例65例を用いた検討を行い、25例(40.0%)に発現が認められ、S100A16発現は患者の無病生存率や全生存率と有意の相関性が認められた。さらに多変量解析の結果、S100A16の発現は術後補助化学療法施行患者の独立した予後不良因子であることを見出し報告した (Onco Targets Ther 10: 5273-5279, 2017)。また、S100A16の発現とEMTとの関連性が報告されていることから、E-cadherin, vimentinの発現との関連性を検討したが、両者との関連性は見いだせなかった。②nestinの発現は非小細胞性肺癌や大細胞性神経内分泌肺癌の予後不良因子であることを報告している (Chest 134: 862-869, 2011, Lung Cancer 77: 415-420, 2012)。今回は、術後補助化学療法症例におけるnestin発現の意義について検討した。その結果、nestinの発現は非小細胞性肺癌90例中28例 (31.1%) に認められ、nestinの発現は、患者の全生存率と有意の相関性を示した。また、多変量解析の結果、nestinの発現は独立した予後不良因子であることを見いだし報告した (PLoS One 12: e0173886, 2017)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(理由)研究に使用する症例数を追加し、より多数例での検討が出来るようになった。また、外科的摘出された非小細胞性肺癌組織を用いた検討で、すでに英文論文として報告済みのタンパク質の中でS100A16とnestinを対象に臨床病期II-IIIA期の非小細胞性肺癌組織を用いた検討を行い、英文論文として報告した。今後も、外科症例で有用と思われるタンパク質に関しては、術後補助化学療法症例を用いた免疫組織化学的検討を行う予定である。現在myosin-9 (MYH9) の発現は患者の無病生存率と関連しており、現在英文論文としてまとめている。さらに、この科研費申請時に外科的に摘出された非小細胞性肺癌組織を用いて免疫チェックポイント阻害剤であるnivolmab等を用いた治療の有効性を検討するコンパニオン診断としてPD-L1分子に対する免疫染色を自動免疫装置で行った。その結果、PD-L1の発現は扁平上皮癌で有意に高かったが、PD-L1発現は患者の予後とは相関性が見いだせなかった。また、術後補助化学療法症例における検討も行ったが、同様に扁平上皮癌で発現が有意に高いことを見いだしたが、従来の報告に比して新たな知見が乏しいことから、今後の論文のまとめ方を現在検討している。 新たな術後補助化学療法の治療感受性予測マーカーの獲得に関しては、すでに術後補助化学療法を受けた非小細胞性肺癌患者のうち、無再発生存期間が1年以内の患者群(3例)と5年以上再発のない患者群(3例)の治療前血清を一次抗体として用い、肺癌細胞株を二次元電気泳動で展開したメンブレン上で反応させ、両者で異なる反応性を示す抗原タンパク質を比較検討する実験を開始した。すでに、短期再発群で62個、長期非再発群で33個の抗原タンパク質を見出している。新たな治療予測因子の獲得を目指した研究を行っていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
1.次年度も当研究室で報告した外科症例を用いた非小細胞性肺癌マーカーや他の腫瘍組織での検討で見出し報告したマーカー分子について、術後補助化学療法症例を用いた免疫組織化学的検討を行っていく。報告する価値のある分子に関しては、随時英文論文として報告していく予定である。 2.すでに、患者血清中の自己抗体を用いた検討を進め、新たな術後補助化学療法の効果予測マーカー候補タンパク質の獲得を目指す。すでに、術後補助化学療法施行後1年以内に再発した患者群(3名を選択)と5年以上再発の認められなかった患者群(3名を選択)の治療前のプール血清を一次抗体として、肺癌細胞株から抽出したタンパク質を二次元展開し、転写したメンブレンと反応させる実験を開始した。すでにどちらか一方でのみ検出された複数のマーカー候補タンパク質を同定済み。次年度は、マーカー候補タンパク質の絞り込みを行って行く予定である。 3.次年度は絞り込んだマーカー候補タンパク質に関して、多数例を用いた免疫組織化学的検討を行うと同時に、患者血清中の抗原量や自己抗体量を半定量的に検討し、健常人血清や両者での鑑別に役立つか否かの検討を行う。
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Causes of Carryover |
研究計画通りに消耗品の購入を行った。しかし、研究成果発表旅費として10万円を計上していたが、使用しなかったので、次年度使用額が生じた。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Cytoskeleton-associated protein 4 is a novel serodiagnostic marker for lung cancer.2018
Author(s)
Yanagita Kengo, Nagashio Ryo, Jiang Shi-Xu, Kuchitsu Yuki, Hachimura Kazuo, Ichinoe Masaaki, Igawa Satoshi, Fukuda Eriko, Goshima Naoki, Satoh Yukitoshi, Murakumo Yoshiki, Saegusa Makoto, Sato Yuichi.
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Journal Title
American Journal of Pathology
Volume: 188
Pages: 1328~1333
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Prognostic significance of S100A16 subcellular localization in lung adenocarcinoma.2018
Author(s)
Kobayashi Makoto, Nagashio Ryo, Saito Keita, Aguilar-Bonavides Clemente, Ryuge Shinichiro, Katono Ken, Igawa Satoshi, Tsuchiya Benio, Jiang Shi-Xu, Ichinoe Masaaki, Murakumo Yoshiki, Saegusa Makoto, Satoh Yukitoshi, Sato Yuichi.
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Journal Title
Human Pathology
Volume: 74
Pages: 148~155
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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