2017 Fiscal Year Research-status Report
大腸癌の進展における基質接着性スイッチ分子としてのCrumbs3の機能解析
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17K08737
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
飯岡 英和 新潟大学, 医歯学系, 助教 (20425416)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 英作 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30252951)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 細胞極性 / 腫瘍 / 浸潤 / 転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では下記a-cの3ステップにより、Crb3 が腫瘍形成を促進するメカニズムを明らかにすることを目標としている。 a. 接着性の制御に必要なCrb3 のドメインの分子生物学的検索 b. 相互作用するタンパク質の生化学的な同定 c. 相互作用するタンパク質の腫瘍形成における役割のin vivo/in vitro の実験による解析 1年目の本年度はまずエピトープタグを付加したCrb3のデリーション変異タンパク質を腫瘍細胞に発現させ、細胞の形態観察によって接着性の制御に必要と考えられるドメインの検索を行った。しかし欠失変異の部位によってはタンパク質の発現が全く見られなくなる場合があり、比較検討が困難であることが判明した。ショウジョウバエの発生遺伝学的な知見から、Crbの細胞外ドメインは大きな機能を果たさないと考えられている。そこで、細胞外ドメインにエピトープタグを付加した全長Crb3を作成し、Crb3ノックアウト大腸癌細胞に安定発現させたところ、親株であるCrb3ノックアウト細胞の移動性を野生型大腸癌細胞株の60%程度まで回復させることが判明した。このことは導入したタグ付きタンパク質が内在タンパク質の機能を代償していることを示す。そこで、この細胞株を培養し、エピトープタグ利用した免疫沈降を行い、SDS-PAGE、銀染色により解析し、Crb3に特異的に結合すると考えられるタンパク質のバンドを質量分析により分析した。現在得られた候補タンパク質のうち数種に関して、大腸癌における発現、Crb3との関連などを解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の最初のステップであるドメインの分子生物学的検索が困難であることが判明し一時期停滞したが、既に結合タンパク質を同定し、in vitroでのバリデーションも順調に進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は予定通り同定したタンパク質とCrb3の関連と腫瘍の進展における役割をin vitro/ i vivoの実験で確認する。具体的にはsiRNA等で結合タンパク質をノックダウン又は過剰発現大腸癌細胞株を作成し、細胞移動や増殖性のアッセイを行う。また野生型大腸癌細胞とCrb3ノックアウト細胞、過剰発現細胞を組み合わせて前述のアッセイを行うことで、Crb3との機能的相関を示す。また、質の良い抗体が利用できれば、ヒト腫瘍組織切片を用い免疫組織化学的な解析を行うことで、実際のヒトの腫瘍においてもCrb3と結合タンパク質が関連することを示す。
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