2018 Fiscal Year Research-status Report
大腸癌の進展における基質接着性スイッチ分子としてのCrumbs3の機能解析
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17K08737
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
飯岡 英和 新潟大学, 医歯学系, 助教 (20425416)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 英作 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30252951)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | metastasis / polarity / Crumbs3 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに、Crb3に結合するタンパク質の候補を免疫沈降後の沈殿タンパク質をマススペクトル解析することにより同定した。今年度は候補タンパク質の中から、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)に注目し、大腸癌細胞DLD-1における解析を行った。 まず免疫沈降の結果を確認するため、HEK293T細胞にCrb3とFGFR1を共発現させ、FGFR1に付加したHISタグによりプルダウンし、ウェスタンブロットにより確認したところ、Crb3とFGFR1の結合が確認できた。さらに細胞内欠失変異を有するFGFR1を用いた実験では結合が見られないことから、Crb3は細胞内ドメインを介してFGFR1と結合していると考えられた。さらにCrb3ノックアウト大腸癌細胞にCrb3を強制発現させた際に、FGFR1とその下流シグナル因子であるERK1/2のリン酸化が亢進する事を見出した。このことは大腸癌細胞の移動性がERKの活性化因子であるMEKの阻害剤(U0126, SL327)により、細胞移動が抑制されることとよく一致した。また、Crb3遺伝子座からは、選択的スプライシングによりCrb3aとCrb3bの2つのアイソフォームが生成することが知られている。ノックアウト細胞にレンチウィルスベクターを用いてCrb3aまたはCrb3bをそれぞれ単独で発現させたところ、どちらのアイソフォームもFGFR1を活性化し、細胞移動を促進した。以上のことからCrb3は両アイソフォームの共通配列を介した未知のメカニズムにより、FGFR1を活性化していることを明らかにした。これまでの結果をまとめ、論文を国際誌に投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
免疫沈降の結果、興味深い接着分子が結合タンパク質の候補として得られなかったため、「接着性制御因子の解析」を行うという当初の目的からは若干内容が変化してきている。 しかし、FGFRとCrb3との関連については解析が良く進み、現時点までの成果をまとめ国際誌に投稿できたため、おおむね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
31年度はCrb3によるFGFRの活性化機構についてさらに詳細な解析を行い、論文にまとめる予定である。
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Research Products
(3 results)