2017 Fiscal Year Research-status Report
家族性筋萎縮性側索硬化症に対するグルコースアナログ剤による病変進行抑制機構の解明
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17K08760
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
加藤 雅子 鳥取大学, 医学部, 准教授 (80221183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 信介 鳥取大学, 医学部, 准教授 (60194817)
桑本 聡史 鳥取大学, 医学部附属病院, 助教 (60567189)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis; ALS)モデルマウスであるG1H-G93A-ALSマウスにグルコース類縁体の1種である2-deoxy-D-glucose(2DG)、またはプラセボをALS発症後から経口投与することにより、2DG投与群はプラセボ投与群と比較して、ALSマウスの生存の延長と臨床症状の進行の抑制・運動機能の改善がみられた。これらの所見は、これまでに蓄積されてきた当該マウスの自然経過における臨床症候、運動機能の経時的所見と比較することにより確認できた。また、2DGを1日1回1mg/gで投与した場合、重篤な副作用は認められなかった。2DG投与群とプラセボ投与群の比較においては、2DG投与群は病悩期間と生存期間において統計学的に有意な延長が認められた。また、ALSの臨床症状をスコアー化して経時的に定量解析した場合、また、運動負荷試験を施行し、スコアー化して経時的に定量解析した場合、2DG投与群はプラセボ投与群と比較して、有意に運動機能の改善が認められた。 2. G1H-G93A-ALSマウスにおける残存脊髄前角細胞数に関する病理組織学的定量的解析: 2DG投与群、プラセボ投与群いずれも、病悩期間、生存期間を確認すべく、終末期まで、マウスを観察し、組織サンプリングを行った。終末期の病理組織学的には、2DG投与群、プラセボ投与群の脊髄前角細胞の数には有意差は認められなかった。 3. 2DGがALSマウスの生存の延長と臨床症状の進行の抑制・運動機能の改善を来した機序の解明のため、glucose以外のケトン体がエネルギー源として関与しているのではないかという仮説と立てた。マウスの血中ケトン体の測定が可能か否かを検討した。また、解糖系、TCA回路の中間代謝産物の動態を確認すべくメタボロミクス解析に凍結組織を供した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
G1H-G93A-ALSマウスを用いて、グルコース類縁体である2-DGを1日1回経口投与することによりALSの進行抑制効果が実証出来た。 また、重篤な副作用も、現行の投与量、投与方法では生じないことも確認できた。 更に、その化合物のALSにおける有効性の機序の解明のための、新規に組み立てた実験系(終末期まで経過観察するのではなく、終末期に至る前の110日齢時点)において病理組織学的および生化学的解析のための組織サンプリングが終了している。
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Strategy for Future Research Activity |
グルコース類縁体の有効性の解明のため、110日齢の時点のマウスの生化学的、病理組織学的解析を進める。G1H-G93A-ALSマウスの神経細胞死の機序とこれら化合物による神経細胞死の抑制機序の解明を行う。終末期・病悩後期(110日齢)のG1H-G93A-ALSマウスにおける変異SOD1凝集封入体に関する病理組織学的定量的解析と最終糖化産物関連の凝集毒性に関する病理形態学的検討を行う。グルコース類縁体の副作用を全身臓器の病理組織像を含めて検討する。
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Causes of Carryover |
購入予定の試薬は輸入品でしかも国内在庫がなく、取り寄せには年度内に納入が不可能な状況が判明したため、次年度予算で購入することし、このために次年度使用額が生じた。
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