2018 Fiscal Year Research-status Report
異なるクローディン分子種を発現するがん細胞集団の相互作用とその意義
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17K08766
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
冨川 直樹 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (80468587)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 腫瘍内不均一性 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト子宮内膜がん細胞株であるECC1とHEC1Aのクローディン-6(CLDN6)発現細胞株を用いてウェスタンブロットを行った結果、内在性に発現するCLDN4の発現が顕著に減少することを再確認した。また一過性にCLDN6を発現させた場合においても早期に内在性に発現するCLDN4の発現が顕著に減少すること、CLDN6の発現量依存的にCLDN4発現が減少することが明らかとなった。さらにHEK293T細胞にCLDN4を発現させた後にCLDN6を発現させると、CLDN6発現が起こらないことが明らかとなった。次に、ECC1細胞において、野生型とCLDN6発現株からRNAを採取し、定量的RT-PCRを行った結果、CLDN4のmRNAレベルには変化がないことが分かった。これらの結果から、CLDN4とCLDN6の排他的な発現制御機構は他の細胞においても存在すること、またCLDN6による内在性CLDN4の発現減少はタンパクレベル、つまり分解経路(エンドサイトーシス、リソソーム、オートファジーなど)の誘導によって起こっていることが示唆された。 さらにECC1細胞の免疫染色を行った結果、CLDN6発現細胞ではCLDN4発現が殆ど認められなかったが、CLDN4陽性細胞とCLDN6陽性細胞の細胞間接着部位では、極僅かにCLDN4とCLDN6が共局在する領域を認めた。これはCLDN4とCLDN6が互いを認識し、互いの排他的シグナルを細胞内に伝達している可能性を示唆するものを考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
使用していた市販CLDN6抗体は、僅かではあるが他CLDNとの反応性が確認されたため、再評価が必要となった。新たに特異性の高いモノクローナル抗体を作製し、ヒト子宮内膜がん症例での検討を進め、概ね同様の結果が得られており、この結果をもとにCLDN4陽性の程度をIRSスコア算定により検討を行う。またヒト乳癌症例では、CLDN6陽性症例が殆ど認められず、予後との相関性は解析出来なかった。さらにヒト卵巣癌症例ではCLDN6陽性と予後との相関は認められなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画通りに、新規作製した抗CLDN6モノクローナル抗体を用いて、ヒト子宮内膜がん症例でのCLDN6陽性とCLDN4陽性の割合と予後相関について、IRSスコア算定により評価する。またCLDN6陽性が報告される胃がんなど他がんについて、CLDN4排他的メカニズムが存在するかを検討する、さらにはこれらの細胞株を用いて、CLDN4とCLDN6の排他的関係の普遍性とがんの悪性形質機構への関与を明らかにする。 排他的関係のメカニズムとしてタンパク分解経路が関与していることが示唆されたため、CLDN6によるCLDN4タンパク分解の経路を同定するため、各タンパク分解経路の阻害剤を用い、その詳細なメカニズムを解明する。 排他的作用は短時間で誘導されることが示唆されたため、蛍光融合CLDN4とCLDN6を細胞株に導入し、タイムラプスイメージングにより動的に本現象を捉える。
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Causes of Carryover |
本年度に予定していたトランスクリプトーム解析を次年度に実施することとしたため。
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