2018 Fiscal Year Research-status Report
インスリン分泌能規定因子としての脂肪酸動態:新規モデルマウスを用いた解析
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17K08780
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
浅井 明 東北大学, 農学研究科, 特任准教授 (30500011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉原 仁 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (60183414)
都築 毅 東北大学, 農学研究科, 准教授 (00404848)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 膵島 / β細胞 / インスリン分泌 / 脂肪酸 / 糖尿病 / モデルマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
耐糖能異常易発生のProne系と同抵抗性のResistant系の両系統マウスの膵臓ランゲルハンス島(膵島)を用いて行った昨年度の遺伝子発現網羅的解析等の結果から、本年度は両系統マウス膵島間でインスリン分泌能の差異を規定する因子として、CD36分子の発現量の差異に注目して研究を進めた。CD36分子がマウスの膵島を構成する各細胞群の中でもとくにインスリン産生細胞であるβ細胞に発現していることをフローサイトメトリーや免疫細胞染色によって確認した。また、CD36分子の発現レベルがβ細胞のインスリン分泌に及ぼす影響について、樹立β細胞株を用いた培養細胞レベルでの解析を行い、CD36の過剰発現がインスリン分泌顆粒の細胞内局在に影響し、とくに細胞膜近傍への分泌顆粒の局在がCD36の過剰発現によって著しく低下することを認めた。またこのとき、高グルコースや高カリウムに対するインスリン分泌応答もCD36過剰発現細胞で実際に低下していた。これらの結果をもとに、CD36分子の発現量の差異が、インスリン分泌顆粒の細胞内局在や開口放出に影響を及ぼすに至る細胞内シグナル経路の同定に着手し、β細胞における細胞内インスリンシグナルがインスリン分泌顆粒の細胞内局在を調節するタンパク質群の発現に影響を及ぼす可能性を見出した。また、このインスリンシグナル経路への直接的な作用が想定される脂肪酸・脂質動態の変化についても、その作用の解明に向けた解析手法の検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の主目的である「Prone/Resistant両系統マウスの膵島においてインスリン分泌能の差異を規定する因子の解明」について、進捗状況は概ね順調といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
CD36分子の発現量の差異が、β細胞におけるインスリン分泌顆粒の細胞内局在や開口放出に影響を及ぼすに至る細胞内シグナル経路や、そのシグナル経路に及ぼす脂肪酸・脂質動態の影響についての解析をさらに進める。また、培養細胞系で得られたこれらの結果が、Prone/Resistant両系統マウス間で認められる膵島機能(インスリン分泌能)の差異を実際にどれだけ反映しているのかにいての検証を行う。
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Research Products
(3 results)