2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K08790
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
稲垣 匡子 県立広島大学, 生命環境学部, 教授 (70363588)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | レプチン / 胃 / 腸上皮化生 / 食事性肥満 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度に、消化管上皮細胞特異的T3b-SOCS3 cKO、あるいはSOCS3とObRの二重欠損[T3b-(SOCS3xObR )cKO]マウス、食事性肥満マウスの胃粘膜で低酸素状態を示すこと見出したことから、さらに平成30年度は、ピモニダゾールをこれらのマウスに投与し、レプチンシグナルと幹細胞マーカーや、多能性維持因子の発現を調べた。ピモニダゾール陽性部位に、Notch, Lgr5, Nanog などの発現が増加し、リン酸化ObRの発現部位とも近似していた。レプチンシグナルの主要経路であるPI3K-Akt経路の中でも、ClassIII PI3K複合体(Vsp34など)が、病態形成の初期に発現が高まった。 このような細胞内環境と共に、細胞外環境である常在菌の変化を食事性肥満モデルで調べた。メタゲノム解析および常在菌qPCRの結果、高脂肪食摂取1週目から、胃および大腸で常在菌構成異常であるdysbiosis を顕著に示した。特に胃は大腸に先立ちdysbiosisを起こし、Lactobacillus優勢であることが明らかになった。このような変動は、ObR変異であるdb/dbマウスでは認められなかったことから、レプチンシグナルが消化管常在菌構成を方向付ける可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遺伝子改変および食事性肥満両方のモデルで、胃レプチンシグナルの胃がんおよび前がん病変に必要な細胞内シグナル経路や分子を特定できつつある。さらに、これらの病態を示すマウスの消化管常在菌構成を経時的に示すことができた。従来、病態発症時での常在菌変化の研究は多く報告されているが、それらの病態に至るまでの常在菌変化と病理的な関係を示す研究はほとんどない。本課題で、常在菌変化と宿主病理像との関係が示されたことは、病態解明や予防において重要である。
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Strategy for Future Research Activity |
食餌性肥満及びレプチンシグナル経路の遺伝子改変マウスの両モデルを用い、正常から腸上皮化生に至る過程での母地を支える、胃粘膜での免疫反応について、調べていく予定である。また、in vitroでの解析を早急に進める。
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