2018 Fiscal Year Research-status Report
Phylogenetic analysis of primate Plasmodium species and the search for the genetic elements which are involved in host switching
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17K08807
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
有末 伸子 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (00242339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本間 一 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (10617468)
川合 覚 獨協医科大学, 医学部, 教授 (70275733)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | マラリア原虫 / ゲノム解読 / 宿主特異性 / 系統解析 / 比較ゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
世界中の熱帯、亜熱帯地域で猛威をふるう感染症であるマラリアの原因となるマラリア原虫について、宿主への感染能が異なる多彩なマラリア原虫種のゲノム解読、比較ゲノム解析を行い、宿主特異性に関与する遺伝的要素の探索を行っている。平成29年度のPlasmodium fieldiに加えて、平成30年度は新たに、アジアのマカクを宿主とするPlasmodium simiovaleについて、de novoゲノム解読を行った。感染血液から抽出したマラリア原虫のgDNAについて、Illumia Miseqでクォリティーチェックを行なったのち、ロングリードシーケンサーであるNanopore MinION、ショーとリードシーケンサーであるIllumina Hiseqの2種類のシーケンサーを使用して、予想ゲノム長の100倍以上の配列が得られる規模でシーケンスを行った。その結果、ゲノム長33 Mb、染色体14本、オルガネラゲノム2本(ミトコンドリアゲノム、アピコプラストゲノム各1本)遺伝子数約5,400のPlasmodium simiovaleドラフトゲノムを得た。ゲノム情報が既知の他のマラリア原虫種との比較ゲノム解析から、メロゾイト表面に発現するタンパク群、宿主赤血球表面の抗原と結合することが予想されるタンパク分子などについて、そのレパートリーが種間で異なっていることが判明した。また、比較ゲノム解析に用いるマラリア原虫種間分岐順序を明確にするために、核ゲノム、オルガネラゲノム配列を大量に用いて、簡易的な系統樹推定を行った。解析の結果は国内外の学会で発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた2種のマラリア原虫について、de novoゲノム解読が概ね完了した。宿主特異性に関与する分子基盤の探索を目的とした比較ゲノム解析も開始している。赤血球に侵入する際のマラリア原虫の形態であるメロゾイト表面に局在するいくつかのタンパクコード遺伝子について、レパートリーが種間で変化している分子をいくつか同定している。以上のことより、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
比較ゲノムを行うにあたり、ゲノムデータのクオリティーが低いPlasmodium gonderiについて次世代シーケンサー(Nanopore MinION、illumia Hiseq)を用いて再解析を行う予定であり、これにより、比較ゲノムの精度が向上すると考えている。また、進化過程における遺伝子の獲得、喪失を考えるうえで比較ゲノム解析にとりいれるマラリア原虫種の分岐順序が正しく推定されていることが必要であるので、核ゲノムデータを大量に用いてマラリア原虫種間の系統関係を正しく推定する。その上で、宿主転換時に生じた遺伝子の獲得・喪失のプロフィールを追跡する。
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Causes of Carryover |
ゲノムシーケンスを予想より安価に行うことができた。そのため、次年度はデータの不備がある原虫種について再シーケンスを行うことを予定している。
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