2019 Fiscal Year Annual Research Report
Evolutionally history of Strongyloides species that led to S. stercoralis, parasitic nematodes of humans and dogs
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17K08809
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
長安 英治 宮崎大学, 医学部, 助教 (20524193)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 彩子 宮崎大学, 農学部, 教授 (20343486)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 糞線虫 / 分子系統解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
南米(ペルー)におけるイヌからのサンプリングを実施した。サンプリングサイトとしてリマ市内のパンプローナ地区(海岸砂漠地域)とリマから622kmの距離に位置するタラポト(熱帯雨林地域)の2箇所を選定した。路上由来のイヌ糞便を回収し、国立ラ・モリーナ農業大学(リマ)および国立サン・マルティン大学(タラポト)の実験室において寒天平板法による線虫の検出を試みた。何らかの線虫が検出された割合はそれぞれ20.0% (リマ; n=180)および50.2% (タラポト; n=97)であった。検出された線虫サンプルについて、18S rDNA配列を用いた種同定を行った。リマのサンプルに関しては約半数の線虫個体が鉤虫(Ancylostoma sp.)と同定されたが、糞線虫は検出されなかった。一方タラポトのサンプルに関しては約80%が鉤虫であったものの、2つの便サンプルからステルコラリス糞線虫 (Strongyloides stercoralis)が検出された。ペルーにおけるヒトからの糞線虫に関しては、カジェタノ・エレディア大学(リマ)大学病院寄生虫検査室で、ルーティン業務として実施しているベールマン法に由来する検体を入手した(22名に由来する79虫体)。ペルーのヒトおよびイヌ宿主からのステルコラリス糞線虫と、日本、東南アジアなどその他地域における糞線虫集団との関係を明らかにするため、ミトコンドリアcox1遺伝子部分配列(711bp)に基づくネットワーク解析を行った。ペルーのヒトおよびイヌ由来ステルコラリス糞線虫からは計13のハプロタイプが見出された。そのうち3つは既知、10は新規ハプロタイプであった。ネットワーク解析では3つの極めてユニークな位置にペルーのステルコラリス糞線虫が配置され、アジア株からの地理的隔絶の後におこった配列変化を反映しているものと考えられた。
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