2017 Fiscal Year Research-status Report
ナノ技術を応用した赤痢アメーバ症迅速診断法の確立と評価
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17K08811
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
橘 裕司 東海大学, 医学部, 教授 (10147168)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 感染症 / 診断 / ナノ材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
赤痢アメーバ症の迅速血清診断に有用なキットを開発するための研究を実施した。蛍光色素を内包させたシリカナノ粒子の表面に大腸菌で作製した赤痢アメーバ表面抗原(C-Igl)を結合させ、その粒子とアメーバ症患者の血清抗体との反応を蛍光イムノクロマト法で検出する系について、様々な患者血清を用いて評価を行った。アメーバ性大腸炎患者(35検体)、アメーバ性肝膿瘍患者(28検体)、無症候性赤痢アメーバ嚢子排出者(17検体)の血清を使用し、健常人血清(70検体)を陰性対照としてROC曲線を描き、cut-off値を設定した。その結果、無症候性感染者も含めてすべての赤痢アメーバ症患者血清が陽性と判定された。さらに、ジアルジア症(6検体)、ヒトブラストシスチス感染症(7検体)、マラリア(9検体)、トキソプラズマ症(7検体)、リーシュマニア症(9検体)、シャーガス病(7検体)などの原虫疾患と、クロストリジウム・ディフィシル感染症(10検体)の合計55検体の患者血清を用いて特異性の評価を行った。その結果、マラリアの2検体とクロストリジウム・ディフィシル感染症の1検体を除き、陰性と判定された。陽性と判定された3検体は、間接蛍光抗体法による検査では陰性であったことから、いずれも偽陽性であると推定された。これらの結果から、本蛍光イムノクロマト法の感度は100%、特異性は97.6%と判定され、この抗体検出系は赤痢アメーバ症の血清診断に有用であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
様々な病態の赤痢アメーバ感染者と他の原虫感染症や細菌感染症の患者血清を使用し、蛍光イムノクロマト法による抗赤痢アメーバ抗体検出系が感度・特異性ともに優れていることを確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
蛍光イムノクロマト法による抗赤痢アメーバ血清抗体検出系について、海外の大学との共同研究によって、より多くの血清検体を用いた評価を行う。また、他の血清診断法との比較に基づいた評価を行う。
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Causes of Carryover |
研究補助の謝金としての使用額が当初の予定よりも少なかったことによる。海外の研究機関と共同で検出系の評価を実施するための旅費等に使用する予定である。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Development of a sensitive immunochromatographic kit using fluorescent silica nanoparticles for rapid serodiagnosis of amebiasis2018
Author(s)
Tachibana H, Kakino A, Kazama M, Feng M, Asai S, Umezawa K, Nozaki T, Makiuchi T, Kamada T, Watanabe H, Horiki N, Cheng X, Masuda G
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Journal Title
Parasitology
Volume: 143
Pages: 印刷中
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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