2018 Fiscal Year Research-status Report
ナノ技術を応用した赤痢アメーバ症迅速診断法の確立と評価
Project/Area Number |
17K08811
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
橘 裕司 東海大学, 医学部, 教授 (10147168)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 感染症 / 診断 / ナノ材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
赤痢アメーバ症の迅速血清診断に有用なキットを開発するための研究を継続した。蛍光色素を内包させたシリカナノ粒子表面に大腸菌で作製した赤痢アメーバIglレクチンのC末端側断片(C-Igl)を結合させ、その粒子と患者血清中の特異抗体の結合を蛍光イムノクロマト法(FIC法)で検出した。今年度は、タイのアメーバ症患者血清を検体として、チュラロンコン大学医学部の共同研究者とともに検出系の評価を実施した。間接赤血球凝集反応法(IHA法)で抗赤痢アメーバ抗体陽性と判定された56検体について測定したところ、FIC法では52検体が陽性であり、感度は93%と判定された。蛍光強度とIHA抗体価には相関が認められ、陰性検体4例のうちの3例は、IHA抗体価が陽性境界値(1:128)であった。従って、タイの患者血清においても、本FIC法が有用であると考えられる。赤痢アメーバのIglには多型が存在するが、これまでに調べた範囲ではC末端側の構造は比較的保存されていた。しかし、本FIC法が様々な地域の赤痢アメーバ症患者の診断に適用できるかどうか、さらなる検討が必要である。また、今年度は、高価な機器による蛍光強度の測定ではなく、簡便な蛍光ビューアーを用いた観察法についても検討し、陽性検体について明瞭な判定が可能であることを確認した。さらに、これまでに作製したFIC検出系には3つのロットがあるため、同一検体を用いてロット間の比較を行ったところ、測定値に比較的大きな差が認められた。その原因が主にC-Iglの質に由来するのか、蛍光粒子への結合条件などの過程にあるのかについては、今後の検討課題である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
他国の赤痢アメーバ症患者血清についても、蛍光イムノクロマト法による抗体検出系が有効であることを確認できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
蛍光イムノクロマト法による抗赤痢アメーバ抗体検出系について、海外の研究機関との共同研究により、より多くの血清検体を用いた評価を行う。また、他の血清診断法との比較や実用化をめざした検討を行う。
|
Causes of Carryover |
今年度は新たなロットのキット作製を行わなかったことによる。キットの作製や海外の研究機関と共同で検出系の評価を実施するための旅費等に使用する予定である。
|
Research Products
(9 results)