2019 Fiscal Year Research-status Report
ナノ技術を応用した赤痢アメーバ症迅速診断法の確立と評価
Project/Area Number |
17K08811
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
橘 裕司 東海大学, 医学部, 教授 (10147168)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 感染症 / 診断 / ナノ材料 / 赤痢アメーバ症 |
Outline of Annual Research Achievements |
赤痢アメーバ症の迅速で簡便な血清診断法を確立するため、虫体表面レクチン中間サブユニットの組換えタンパク質断片(C-Igl)を用いたイムノクロマト系について、さらに評価を行った。今年度は、同一ロットにおけるキットの均質性評価を行った。患者血清を用いた評価の結果、反応開始後15分の測定値では2.3倍(1.7~4.0倍)の差を認めたが、30分の測定値では1.8倍(1.2~2.0倍)の差であった。また、陰性検体に抗C-Iglヒトモノクローナル抗体を添加した系による評価では、反応開始後15分の測定値に2.3倍(1.5~3.4倍)の差を認めたが、30分の測定値は1.6倍(1.0~2.0倍)の差であった。これらの結果から、キット間で差があるものの、反応開始後30分の測定値を使用することで、影響は小さくなると考えられた。キット間において差異の生じる原因が、蛍光シリカナノ粒子を含むチューブ側にあるのか、メンブレンを含むカセット側にあるのかについて検討したところ、カセット側に起因することが確認された。 さらに、全血を直接使用した測定が可能かどうかを検討するため、血球を添加した系による評価を行った。患者血清に等量の健康人血球を添加しても、このキットの緩衝液に含まれている界面活性剤の濃度では溶血が起きず、血球はメンブレン上をほとんど移動しなかった。蛍光強度の測定値にも有意な影響がなく、血球の存在は反応系に影響しないことが確認された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
いくつかの項目でキットの評価を進めることができたが、計画していたクロストリジウム・ディフィシル感染症の患者血清を用いた評価については、確保できた検体数が不十分のために年度内に終了しなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究協力者の支援を得て、必要数の臨床検査残余検体を確保し、キットの評価を行う。また、海外共同研究者の協力を得て、海外の検体を用いた評価を行う。
|
Causes of Carryover |
研究補助者の雇用時間が予定よりも短く、謝金使用額が少なくなったこと、また、論文発表用の経費を計上していたが、研究の進捗の遅れから年度内に論文発表にまで至らなかったことによる。 研究補助者への謝金や論文発表のための経費に使用する予定である。
|
Research Products
(7 results)