2020 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment and evaluation of a rapid diagnosis using nanotechnology for amebiasis
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17K08811
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
橘 裕司 東海大学, 医学部, 教授 (10147168)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 赤痢アメーバ / 感染症 / 診断 / ナノ材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
赤痢アメーバ症は、わが国では5類感染症として年間約1000例が報告され、最も問題となっている寄生虫症の1つである。特に腸管外アメーバ症では直接虫体を検出することが困難であり、血清特異抗体の検出は診断に有用であるが、国内で使用されてきた間接蛍光抗体法キットが製造中止となったため、それに代わる検査キットを必要としている。本研究では、迅速で簡便な赤痢アメーバ症の血清診断キットを開発するための研究を実施した。蛍光色素を内包したシリカナノ粒子表面に、大腸菌で作製した赤痢アメーバ表面レクチン中間サブユニットの断片 (C-Igl) を結合させ、その粒子と患者血清中の特異抗体の結合をイムノクロマト系で検出した。今年度は、大腸炎を呈するクロストリジウム・ディフィシル感染症の患者血清について、臨床検査残余検体を用いた特異性の評価を行った。その結果、22検体中の1検体が陽性となった。この検体について、C-Iglを抗原としたELISAや栄養型虫体を用いた間接蛍光抗体法では陰性であり、蛍光イムノクロマト法の反応は偽陽性であると考えられた。研究期間全体を通じて、海外の患者血清も含めて評価を行ったところ、本キットの特異性・感度共に実用レベルであることが示された。キットのロット間や同一ロット内での均質性に差がみられたものの、反応時間30分での判定において問題はなかった。また、血球を含んだ検体を用いても蛍光による特異抗体の検出には影響がなかった。高価な蛍光測定機器を使用しなくても、簡便な蛍光ビューアーによる観察で判定が可能であり、本検査法の実用化が期待できる。
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Research Products
(10 results)