2017 Fiscal Year Research-status Report
ヨーロッパ腐蛆病感染時の細胞外マトリックス結合因子の役割解明と感染モデルの確立
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17K08818
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
奥村 香世 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (70415561)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 細菌感染 / 病原性 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヨーロッパ腐蛆病はミツバチの法定伝染病に指定される獣医学分野のみならず農学分野においても重要な感染症であるが、その感染の機構は明らかになっていない。申請者はヨーロッパ腐蛆病菌のゲノム情報から見出した病原性関連遺伝子の1つであるコラーゲン結合蛋白質の遺伝子に着目し、当該遺伝子の機能解析、特に本菌の病原性発揮への関与を明らかにすることを目的に本研究課題を進めている。
本菌は病原性の違いから、1)弱病原性株(CC13)、2)中度病原性株(CC3)、3)強病原性株(CC12)に分類される。これら3群間でコラーゲン結合蛋白質の遺伝子配列を比較したところ、CC12のそれは他の群CC13およびCC3と顕著に異なっており、CC13およびCC3の遺伝子は約2 kbであるのに対し、CC12の遺伝子は8.7 kbと非常に長かった。また、アミノ酸レベルの比較でも、コラーゲン結合ドメインBの繰り返し構造がCC13・CC3で4回、CC12で11回みられ、その構造は大きな違いが認められた。
当該蛋白質のコラーゲン結合能を確認するため、当該遺伝子をHisタグ融合蛋白質として大腸菌内で発現させた後、リコンビナント蛋白質の精製を試みた。研究計画当初は各CC群由来の当該遺伝子を発現させることを予定していたが、まずは分子量の小さいCC13由来遺伝子を発現させた大腸菌の細胞破砕液を用いてコラーゲンとの結合能をELISA法にて解析する実験系の構築に注力した。具体的には、コラーゲンを固相化した96穴プレートを用意し、精製したコラーゲン結合蛋白質と反応させた後、洗浄し、抗His抗体を用いてコラーゲン結合蛋白質を定量する方法である。初年度は予備的実験のみで終了したが、実験系を確立する一定の目処が立った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要にも示したように、初年度は当該蛋白質のコラーゲン結合能を確認するための実験系の構築や各CC群に由来するゲノム配列の確認を行った。これらは本研究を進める上で基盤となるデータであり、重要な作業工程といえる。 また、解析対象であるコラーゲン結合蛋白質の遺伝子をHisタグ融合蛋白質として大腸菌内で発現させる系も確立した。以上のことから、今後の解析を推進する上で必要なツールの準備が順調に進められた。
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Strategy for Future Research Activity |
腐蛆病菌感染時におけるコラーゲン結合蛋白質の役割を明らかにするため、当該蛋白質のコラーゲンとの結合能を評価する。また、コラーゲン結合蛋白質の遺伝子破壊株等を用いて感染実験を実施する。
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Research Products
(1 results)