2018 Fiscal Year Research-status Report
機械学習・人工知能による多剤耐性菌のモデル化と自動判別技術開発
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17K08827
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西野 美都子 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (30510440)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 多剤耐性菌 / 電子顕微鏡 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
多剤耐性菌の出現は現代の世界的な問題であり、感染症を克服することは医学的重要課題の一つである。耐性菌が出現するメカニズムを理解し、それらを抑制する手法を開発することは急務であり、迅速な多剤耐性菌検出法の開発が求められている。本研究は、細菌の多剤耐性化過程において形態学的変化が生じていることに着目し、機械学習を用いた多剤耐性菌画像判別法を確立することを目的とする。前年度では、エノキサシン耐性菌株4系統と非耐性菌株から得た凍結固定試料1個ずつから超薄切片を作成し、機械学習を用いて数百枚の電顕画像から作成したパッチ画像の判別を行った。1つの試料由来のデータセットでは90%以上の高い正答率で判別が成功したが、複数の試料で判別させると正答率が低下した。この結果は、実行した機械学習が凍結固定やその後の試料作成過程で生じるバラツキに対して頑健性を十分に有していないことを示唆した。そこで、平成30年度はこの問題を解決するため、凍結固定試料数および画像撮影に用いるグッリド数を大幅に増やして機械学習判別を試みた。耐性菌株の試料数を3倍、非耐性菌株の試料数をこれまでの6倍に増やし、撮影に用いるグッリド数もそれぞれの試料について5倍に増やした。これら試料の電顕画像を多量に取得し100万枚のパッチ画像を作成後、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いて画像の識別を行い、その結果から元画像の株を推定した。データセットを3つに分け、各セットをトレーニングとテストで入れ替えて交差検証を行い、試料作成時のバラツキに対する頑健性を評価した。耐性菌株と非耐性菌株の2クラス識別を行い、3分割交差検証の各分割に対して精度および、感度、特異度、AUCを求めて評価を行なった結果、全ての項目について90%以上の高い評価精度を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
試料作成時に生じるバラツキについて頑健性を十分に有する識別モデルが構築できた。機械学習に適した試料数が決定できた。
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Strategy for Future Research Activity |
パッチ画像を用いた機械学習について、エノキサシン耐性菌株と非耐性菌株の判別根拠を推定し、それぞれの特徴抽出を行う。また、シングルセルレベルでの画像識別も行う。他の薬剤耐性株についても凍結固定試料を作成し、同じアルゴリズムを用いて高い精度で画像判別できるか検証する。各薬剤耐性株の形態学的特徴量の抽出を行う。
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Causes of Carryover |
データ解析支援のための人件費を計上していたが、人材が見つからなかったため使用しなかった。尚、研究を遂行する上で支障は出なかった。
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Research Products
(4 results)