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2017 Fiscal Year Research-status Report

薬剤耐性菌や病原菌の蔓延の抑制:トキシン-アンチトキシン系を利用して

Research Project

Project/Area Number 17K08837
Research InstitutionDokkyo Medical University

Principal Investigator

大塚 裕一  獨協医科大学, 医学部, 助教 (10548861)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2020-03-31
Keywordsトキシン-アンチトキシン系 / 大腸菌 / ファージ / 抗菌ペプチド
Outline of Annual Research Achievements

本研究は2つの研究課題からなるが、本年度はその中の1つ「トキシン-アンチトキシン系のトキシンによる毒性メカニズム」を集中的に実施した。大腸菌O157株のz3289トキシン(29アミノ酸)を細菌内で発現させると、細菌の増殖は停止する。私は、このトキシンの内部にある5アミノ酸(ALLRLペプチド)が、グラム陽性菌(黄色ブドウ球菌、枯草菌)の増殖を阻害する結果を得ていた。今回、以下の研究結果を得た。

1.抗菌活性に必要なペプチドの性状を知るため、5アミノ酸より短いもの、この配列を含む長いもの、アミノ酸の配列を変えたものなど様々なペプチドを作製して抗菌活性を調べた。ALLRLが最も強く、ALLRLI、ALLR、LRLLA、LLRLも抗菌活性を示した。次に抗菌スペクトルを検討したところ、グラム陰性菌である大腸菌には効果はなかったが、薬剤耐性菌のMRSAには抗菌活性を示した。さらに真菌類に属するカンジダに対しても抗菌活性を示した。
2.既知の抗菌ペプチドの多くは、細胞膜に損傷を引き起こす。そこでALLRLペプチドについてもその可能性を検討したところ、黄色ブドウ球菌、枯草菌、カンジダのどの菌に対しても、細胞膜損傷を引き起こすことが分かった。
3.ALLRLペプチドを抗菌薬へ応用するためには細胞毒性を検討する必要がある。そこで、複数の培養細胞に対してALLRLペプチドの細胞毒性を調べたところ、細菌の増殖を阻害するペプチド濃度でも、培養細胞にはほとんど毒性を示さなかった。
以上の結果より、ALLRLはグラム陽性菌と真菌の細胞膜に作用する抗菌ペプチドであり、かつ細胞毒性は示さない。よって新規抗菌薬のシーズとして期待される。また、既知の抗菌ペプチドとは異なるアミノ酸配列を有し、加えて小さいという特徴があることから、今年度本ペプチドを特許として出願した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究は大きく2つの研究課題からなるが、その中の1つ「トキシン-アンチトキシン系のトキシンによる毒性メカニズム」に関しては、平成29年度と30年度に計画していた3つの実験項目をほぼ終了した。そして、本年度その成果を特許出願した。したがって、本研究課題は当初の計画以上に進展していると考える。もう一つの研究課題「トキシン-アンチトキシン系による形質導入の抑制」に関しては、実験項目の一つ「トキシン-アンチトキシン系によるファージ誘発の抑制」の実験を完了する予定であったが、変異株の作製に時間がかかり、やるべき実験がまだ多く残されている。よって、この研究課題は当初の予定より遅れている。以上を踏まえて、本研究はおおむね順調に進展していると判断する。

Strategy for Future Research Activity

1.研究課題「トキシン-アンチトキシン系のトキシンによる毒性メカニズム」に関しては、ALLRLペプチドによる細胞膜損傷のメカニズムを明らかにする実験を計画している。さらに来年度は、本成果について論文発表と学会発表、海外特許出願を行う予定である。

2.研究課題「トキシン-アンチトキシン系による形質導入の抑制」に関しては、本年度終了予定であった実験項目「トキシン-アンチトキシン系によるファージ誘発の抑制」の残りの実験を集中的に行う。加えて、来年度に実施を計画している「トキシン-アンチトキシン系によるファージ溶原化の抑制」の実験も行う予定である。

Causes of Carryover

「理由」今年度購入を計画していた自動計測コロニーカウンター(2,000千円)を購入しなかった。また、時間的余裕がなかったため、計画していた海外学会への参加を見送った。以上が次年度使用額を生じさせた理由である。

「使用計画」来年度、研究代表者の他大学への異動が決まっている。そこで、実験の遂行に必要な機器、器具、試薬の購入に使用する予定である。また、国内外の学会や研究会への参加費と旅費、論文発表のための費用として使用する。

  • Research Products

    (2 results)

All 2017

All Presentation (1 results) (of which Invited: 1 results) Patent(Industrial Property Rights) (1 results)

  • [Presentation] この世はウイルスだらけ2017

    • Author(s)
      大塚裕一
    • Organizer
      第7回日本微生物学連盟フォーラム「微生物:変わり者たちの素顔」
    • Invited
  • [Patent(Industrial Property Rights)] 抗菌又は抗真菌ペプチド及び抗菌又は抗真菌薬2017

    • Inventor(s)
      大塚裕一 増田道明
    • Industrial Property Rights Holder
      獨協医科大学
    • Industrial Property Rights Type
      特許
    • Industrial Property Number
      特願2017-130369

URL: 

Published: 2018-12-17  

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