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2018 Fiscal Year Research-status Report

薬剤耐性菌や病原菌の蔓延の抑制:トキシン-アンチトキシン系を利用して

Research Project

Project/Area Number 17K08837
Research InstitutionSaitama University

Principal Investigator

大塚 裕一  埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (10548861)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2020-03-31
Keywordsトキシン-アンチトキシン系 / 大腸菌 / バクテリオファージ / 抗菌ペプチド
Outline of Annual Research Achievements

本課題は2つの項目からなるが、「トキシン-アンチトキシン系のトキシンの毒性メカニズム」の項目については、昨年度までに大部分の実験が終了していたため、今年度は論文作製を行った。もう1つの項目「トキシン-アンチトキシン系のトキシンによる抗ファージ機構」について、本年度は集中的に実験を実施した。本項目の目的は、トキシン-アンチトキシン系のトキシンが溶原ファージの増殖を抑制する可能性について検証するもので、その成果は形質導入による薬剤耐性菌の蔓延抑制に繋がることが期待される。本年度は以下の結果を得た。
1.ファージの溶原化に対するトキシン-アンチトキシン系の関与:大腸菌K12株のトキシン-アンチトキシン系であるMazE-MazFまたはRnlA-RnlBを欠失させた株を作製し、溶原ファージSp5の溶原化率を野生株と比較した。溶原化率はmazE-mazF欠失により1.23倍、rnlA-rnlB欠失により1.54倍増加した。また、MazE-MazFまたはRnlA-RnlB の過剰発現が溶原化率を低下させることも確認した。従って、これらトキシン-アンチトキシン系は溶原ファージの溶原化を抑制することが明らかとなった。
2.ファージの誘発に対するトキシン-アンチトキシン系の関与:Sp5ファージが溶原化した大腸菌K12株からMazE-MazFまたはRnlA-RnlBを欠失させた株を作製し、抗菌薬マイトマイシンCで処理してファージの誘発率を測定した。mazE-mazF欠失によりファージの誘発率が1.3倍増加した。よって、MazE-MazFは溶原ファージの誘発を抑えることが示唆された。RnlA-RnlBについては現在解析中である。
我々はこれまでに、トキシン-アンチトキシン系が溶菌ファージの増殖を抑えることを明らかにしていたが、今回初めて溶原ファージの増殖も抑えることを見出した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本課題は2つの研究項目からなるが、その1つ「トキシン-アンチトキシン系のトキシンによる毒性メカニズム」に関しては、平成29年度と30年度に計画していた3つの実験をほぼ終了した。そして、昨年度はその成果を特許出願し、本年度は論文作成を行った。よって、本項目は当初の計画以上に進展していると考える。もう1つの研究項目「トキシン-アンチトキシン系のトキシンによる抗ファージ機構」に関しても、計画していた3つの実験のうち2つを行い、トキシン-アンチトキシン系が溶原ファージの増殖を抑えることを明らかにした。現在はその抑制の分子機構について解明を進めている。よって、この研究項目については当初の予定通り進展していると考える。以上を踏まえて、本研究課題はおおむね順調に進展していると判断する。

Strategy for Future Research Activity

1.研究項目「トキシン-アンチトキシン系のトキシンによる毒性メカニズム」に関しては、論文発表のための補足実験を行い、その成果を論文発表と学会発表する予定である。

2.研究項目「トキシン-アンチトキシン系のトキシンによる抗ファージ機構」に関しては、トキシン-アンチトキシン系が溶原ファージの増殖を抑えるメカニズムについて明らかにする予定である。加えて、来年度に実施を計画している「トキシン-アンチトキシン系を活性化するペプチドによる形質導入の抑制効果」についても、予定通り実験を遂行する。

Causes of Carryover

「理由」
本年度、研究代表者の異動(獨協医科大学から埼玉大学)があり、時間的余裕がなかったため、計画していた国内学会、海外学会への参加を見送った。以上が次年度使用額を生じさせた理由である。
「使用計画」
実験の遂行に必要な機器、器具、試薬の購入に使用する予定である。また、国内外の学会や研究会への参加費と旅費、論文発表のための費用として使用する。

  • Research Products

    (1 results)

All 2018

All Presentation (1 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Presentation] 細菌とファージとの攻防 ~トキシン・アンチトキシン系~2018

    • Author(s)
      大塚 裕一
    • Organizer
      第17回微生物研究会「微生物分子生物学のフロンティア」
    • Invited

URL: 

Published: 2019-12-27  

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