2019 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular mechanisms of necrosis induced by BteA family proteins
Project/Area Number |
17K08838
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
桑江 朝臣 北里大学, 感染制御科学府, 准教授 (60337996)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 百日咳菌 / III型分泌装置 / エフェクター / 細胞死 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では百日咳菌を含むボルデテラ属細菌から分泌されるBteAと呼ばれるタンパク質がどのように哺乳類細胞に細胞死を誘導するのか,そのメカニズムを明らかにして百日咳に対する新規薬剤開発のための分子基盤を構築することを目的に行われた。 III型分泌装置はグラム陰性菌に広く保存されている病原因子分泌装置で,菌体外に突出したニードル様の構造をもつ。III型分泌装置を有する細菌は哺乳類細胞に接触後,菌体内で産生されたIII型エフェクターと呼ばれる一群のタンパク質をIII型分泌装置を通して哺乳類細胞の細胞質内に直接注入する。注入されたエフェクターは哺乳類細胞側因子と相互作用することにより,哺乳類細胞内の生理機能を撹乱して宿主を発症に至らしめる。ボルデテラ属細菌のBteAもIII型エフェクターの一つであるが,宿主細胞内でどのような因子と相互作用をするのか全く不明であった。 本研究ではBteAと相互作用する因子をtwo haybrid systemと呼ばれる酵母を使用した実験系により探索を行った。BteAは哺乳類細胞をはじめ酵母内でも細胞毒性を発揮するため,BteA全長を酵母内で産生させて相互作用する因子を探索することは困難であった。そこで全長658アミノ酸からなるBteAのカルボキシル末端側58アミノ酸を欠失させることにより,細胞毒性を喪失させたBteAを用いて酵母内で相互作用する因子の探索を試みた。その結果,アクチン細胞骨格に関与するいくつかのタンパク質がBteAと相互作用することが示唆された。最終年度においては,それらの相互作用因子の候補タンパク質を大腸菌内で産生させて精製し,BteAと相互作用するか解析を行った。その結果,BteAと試験管内で相互作用するタンパク質が得られた。以上の結果より,ボルデテラ属細菌がどのように細胞死を誘導するのか手がかりをつかんだ。
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Research Products
(4 results)