2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K08853
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
武内 寛明 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (20451867)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | HIV-1潜伏機構 / HIV-1 Tat / 宿主因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、(1)HIV-1潜伏感染制御メカニズムに関わる宿主側要因の理解を深めること、(2)(1)で明らかにした宿主側要因を制御する方法の基盤確立、を目的とし、独自に樹立した潜伏感染モデル細胞株を用いた機能遺伝子発現抑制ライブラリー細胞群を構築し、潜伏感染制御宿主因子群の網羅的探索・同定作業を進めている。平成30年度は、前年度までに同定した潜伏感染制御宿主候補因子4種についてその作用機序について詳細な解析を進めた。とくに、HIV-1再活性化メカニズムの特異性を規定する機構として知られているHIV-1 Tatタンパク質によるHIV-1プロモーター転写促進機構への寄与について検討を進めた。具体的には、宿主候補因子発現抑制潜伏モデル細胞株内のTatタンパク発現をRNA干渉法にて発現を特異的に抑制した細胞を樹立することを試みた。その結果、宿主因子とTatタンパク発現を同時に抑制する細胞株樹立に成功し、その細胞内におけるHIV-1再活性化レベルを解析したところ、一つの宿主候補因子について、その発現抑制によるHIV-1再活性化状態から元のHIV-1潜伏モデル細胞状態に復帰したことから、その宿主因子は、HIV-1潜伏状態を特異的に制御することがわかった。またこの宿主因子の機能阻害シーズ化合物によるHIV-1再活性化能があることを見出したことからも、この宿主因子は、従来の再活性化誘導剤の欠点であるHIV-1再活性化に対する特異性の低さを大幅に改善することが可能な候補化合物となりうることが考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度に同定したHIV潜伏感染制御因子4種の詳細なメカニズム解析を進めるにあたり、「HIVプロウイルス転写特異的な宿主制御メカニズム」に焦点を絞り、特にHIV特異的転写に関わるウイルス側要因であるTatタンパク質の機能への寄与について解析を進める予定であり、今年度は、HIV-1潜伏感染を制御する宿主側要因について、そのHIV-1潜伏特異性の有無を評価する解析系を独自に確立することが出来た。そして解析の結果、上記4種のうち1つの宿主制御因子がHIV-1 Tatタンパク依存的なHIV-1転写促進機構を制御することがわかった。これらの研究成果は、当初の研究実施計画と照らし合わせておおむね順調に進展していると判断することが出来る。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題で、HIV-1潜伏感染を特異的に制御する宿主側要因を明らかにすることが出来、この宿主因子機能阻害剤が今までにないHIV-1活性化誘導剤の候補となりうることも示すことができた。このことは、従来のHIV-1活性化誘導剤の欠点であったHIV-1潜伏感染再活性化の低い特異性を大きく改善することが出来る可能性が考えられる。今後は、得られた潜伏感染制御候補宿主因子群の作用機序の詳細についてさらに解析を進め、HIV治癒に向けてHIV-1感染残存細胞(リザーバー細胞)を効果的に排除する方法の基盤確立につとめていく。
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Causes of Carryover |
HIV-1潜伏モデル細胞株における宿主因子発現抑制と転写促進因子であるHIV-1 Tatタンパク発現抑制を同時に行う細胞の樹立が予定より早く出来たから。
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Research Products
(7 results)