2018 Fiscal Year Research-status Report
小胞体膜分子Nogoによる病原性自己抗体産生の新たな制御機構の解明
Project/Area Number |
17K08874
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
乾 匡範 愛知医科大学, 医学部, 講師 (80443985)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自己免疫疾患 / 自己抗体産生 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗体産生細胞であるB細胞の寛容機構の維持が破綻すると,病原性自己抗体の産生が誘導され全身性エリテマトーデス(SLE)など様々な自己免疫疾患の発症につながる。そのためB細胞の寛容誘導機構を解明することは自己免疫疾患の新規な治療法の開発に不可欠である。申請者らは小胞体膜タンパクであるNogoがマクロファージに発現し,核酸認識TLRの細胞内輸送に関与すること,さらに核酸認識TLRシグナルに必須であることを明らかにしている。しかしながら,小胞体膜分子NogoのB細胞における核酸認識TLRシグナル伝達,さらには自己抗体産生における役割は依然明らかになっていない。昨年度の研究において,Nogo遺伝子欠損マウスをSLE様の自己免疫症状を呈する疾患モデルマウスであるBXSBマウスに戻し交配したBXSB.Nogo欠損マウスを作製し,自己免疫疾患の発症,ならびに自己抗体産生におけるNogoの役割を検討したところ,BXSB.Nogo欠損マウスではコントロールであるBXSBマウスと比較して血中抗ds-DNA抗体価に減少傾向があることを見い出した。本年度研究では,さらにBXSB.Nogo欠損マウスの解析数を増やし検討したところ,BXSB.Nogo欠損マウスにおいて有意に減少した血中抗ds-DNA IgMおよびds-DNA IgG抗体価を有することを確認することができた。しかしながら,total IgM抗体価およびtotal IgG抗体価には有意な差を認めなかった。このように小胞体膜分子Nogoは自己抗体産生に重要な役割を果たしていることを明らかにしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度の途中で自身の異動(所属研究機関の変更)があったため,研究の進行に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
マクロファージにおいて,小胞体膜分子Nogoによる核酸認識TLRのシグナル制御機構と新規会合分子GRAMD4を同定することに成功した。また,TLR7遺伝子をコードする領域の重複によりSLE様の症状を呈する自己免疫疾患モデルマウスBXSBにNogo欠損マウスを戻し交配したBXSB.Nogo欠損マウスが有意に減少した血中抗ds-DNA IgMおよびds-DNA IgG抗体価を有することを確認した。このようにNogoが自己抗体産生に重要な役割を果たしていることを明らかにしたが,B細胞の寛容維持機構における役割は依然明らかになっておらず,核酸認識TLRのシグナル制御機構,自己抗体の産生,およびクラススイッチにおけるNogoの役割を検討する。さらにBXSB.Nogo欠損マウスを用い,病態ならびにB細胞の寛容破綻におけるNogoの位置付けを明らかにする。
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Causes of Carryover |
昨年度の途中で自身の異動(所属研究機関の変更)があったため,研究の進行に遅れが生じた。次年度以降の計画を進行させる。
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