2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K08882
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井上 毅 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任准教授(常勤) (80466838)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 記憶B細胞 / 胚中心 / Bach2 / 代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗原が生体内に侵入するとリンパ組織内では胚中心が形成され、記憶B細胞はこの胚中心B細胞から主に誘導される。記憶B細胞の産生・分化機構を解明することは、獲得免疫系による生体防御機構の理解、そして効果的なワクチン開発のために極めて重要である。しかしながら、胚中心B細胞から記憶B細胞への分化メカニズムについて、その分子機構は未解明の点が多い。申請者らは、転写因子Bach2が効率的な記憶B細胞誘導に必須であるという予備的データを元に、申請者らが新規に開発したマウスを用いた実験システムを導入して胚中心特異的なBach2遺伝子欠損マウスを作製し、 1) 胚中心B細胞におけるBach2転写制御標的遺伝子群を明らかにし、2) その標的遺伝子がどのように記憶B細胞産生に関与しているか、をレトロウイルスを用いた過剰発現、ノックダウン実験および遺伝子改変マウスを用いてin vivoで明らかにし、さらに、3) 提唱された分子メカニズムの妥当性をウイルス感染モデルを用いて検証していきたいと考えている。 平成30年度では、前年度までで発見されたBach2欠損胚中心B細胞におけるBim発現上昇に伴うアポトーシス亢進に着目した。Bach2欠損マウスにBim-floxマウスを交配し、上昇したBim発現を減少させたところ、アポトーシス細胞の減少に伴い記憶B細胞の産生が部分的に回復した。このことから、Bach2の胚中心における機能的標的因子の一つはBimであり、Bach2は胚中心B細胞の生存制御に重要な役割を果たしていることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Bach2欠損マウスで認められた記憶B細胞産生異常の原因の一つが、Bim発現上昇に伴う細胞死亢進であることがin vivoで示されたことから、順調にBach2の生理的機能解明が進んでいると考えられる。また、Bach2欠損胚中心の他の表現型にも着目しており、細胞死以外にも関与するBach2の役割についても予備的データが得られている。 以上より研究は概ね順調に進展していると評価できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は、Bach2欠損胚中心B細胞の代謝亢進に着目し、ラパマイシン投与などによるmTORC1活性の調節を試みる。また、ラパマイシン耐性mTORC1変異マウスを導入し、B細胞特異的な代謝制御が記憶B細胞産生に関わる影響について詳細に解析していく予定である。
|
-
-
-
[Journal Article] KLRG1+ Effector CD8+ T Cells Lose KLRG1, Differentiate into All Memory T Cell Lineages, and Convey Enhanced Protective Immunity2018
Author(s)
Dietmar Herndler-Brandstetter, Harumichi Ishigame, Ryo Shinnakasu, Valerie Plajer, Carmen Stecher, Jun Zhao, Melanie Lietzenmayer, Lina Kroehling, Akiko Takumi, Kohei Kometani, Takeshi Inoue, Yuval Kluger, Susan M. Kaech, Tomohiro Kurosaki, Takaharu Okada, Richard A. Flavell
-
Journal Title
Immunity
Volume: 48
Pages: 716-729
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-