2018 Fiscal Year Research-status Report
高親和性プラズマ細胞の選択および生存維持を担う分子機構の解析
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17K08883
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊勢 渉 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任准教授(常勤) (70323483)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | プラズマ細胞 / 胚中心 / 転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)GC-B細胞fate mappingシステム(S1pr2-ERT2cre Tg x ROSA-STOP-tdTomatoマウス)を利用して、リンパ節GCからプラズマ細胞が産生されるkineticsや骨髄プラズマ細胞プールへの寄与を解析した。メモリーB細胞が主に初期(免疫後2週間以内)のGCからしか産生されないのに対し、プラズマ細胞は免疫初期のGCに加えて後期(免疫後1か月)のGCからも産生された。またGCの時期に関わらず、産生されたプラズマ細胞は骨髄のプラズマ細胞プール内に検出された。以上のことからGCの機能は免疫後の経過時間により変化し、高親和性のプラズマ細胞を産生し続けることが示唆された。 (2)前述のS1pr2-ERT2cre Tg x ROSA-STOP-tdTomatoマウスを用いて、免疫初期に誘導されるGC非依存性のプラズマ細胞と、免疫後14日目にリンパ節に存在するtdTomato+のGC由来プラズマ細胞を分離した。これらプラズマ細胞における遺伝子発現を網羅的に解析した。その結果GC由来プラズマ細胞で高発現するいくつかの遺伝子が見出された。 (3)転写因子zbtb20はプラズマ細胞の長期生存に重要な機能を果たすことが報告されていた。しかしその解析はzbtb20 complete KOマウス(germ line deletion)でなされていたため、詳細なメカニズムは不明であった。そこでzbtb20 floxマウスをROSA-ERT2creマウスと交配し、免疫後十分に時間が経過した後に誘導性にzbtb20を欠失させた。予想とは異なり、プラズマ細胞の生存はzbtb20が欠失しても全く影響を受けなかった。このことからzbtb20はプラズマ細胞の生存そのものには必須ではない可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定した通りに進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
GCに見出すことができたプラズマ細胞の前駆細胞はIRF4を発現するものの、プラズマ細胞と比較するとそのレベルはだいぶ低いものであり、プラズマ細胞へと分化する過程でIRF4を始めとする重要因子の発現を上昇させるメカニズムが存在することが考えられた。近年プラズマ細胞への分化にはゲノムDNAのエピジェネティック修飾、特にDNAの脱メチル化が伴うことが報告されており、GC B細胞からプラズマ細胞への分化にもDNAの脱メチル化が必要である可能性が考えれらる。そこで平成31年度はDNAのメチル化制御がプラズマ細胞分化に果たす機能に焦点をあてる。特にDNAの脱メチル化酵素であるTet分子の欠損マウスを用い、Tet依存的なDNA脱メチル化が欠失したB細胞のプラズマ細胞分化障害とその分子機構を解析する。
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