2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K08884
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
大東 いずみ 徳島大学, 先端酵素学研究所(プロテオ), 准教授 (00596588)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 胸腺 / 上皮細胞 / 細胞分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫システムの司令塔として自己と非自己の識別を担うT細胞分化を支持する胸腺上皮細胞の分化機構を明らかにすべく、皮髄共通前駆細胞から皮質上皮細胞と髄質上皮細胞への分岐制御を担う転写制御分子の発見を目指す研究を行った。生後胸腺由来の皮質上皮細胞と髄質上皮細胞での遺伝子発現を比較したマイクロアレイ解析結果、および、胎仔胸腺由来の皮髄共通前駆細胞および髄質に系列決定したばかりの細胞での遺伝子発現解析結果から、発現差違のある転写関連分子を抽出した。その中から、すでに欠損マウスが作製されており、髄質系列細胞での発現が高い4遺伝子、および皮質上皮細胞と皮髄共通前駆細胞での発現が高い5遺伝子について、国内外の研究者から欠損胸腺を入手し、皮髄構造、および、Aireやbeta5tなどの機能タンパクの発現について検討した。その結果、いずれの欠損胸腺も皮髄共通前駆細胞から皮質・髄質上皮細胞への分岐は正常であった。しかし、皮質上皮細胞と皮髄共通前駆細胞での発現が高い転写因子のひとつを欠損する胸腺は、正常胸腺に比べると組織の大きさが小さく、CD8陽性T細胞数が減少していた。このことから、皮質上皮細胞での当該転写因子の発現はCD8陽性T細胞の正常な産生に関与していることが示唆された。また、欠損マウスが作製されていない分子の中で、皮質上皮細胞および皮髄共通前駆細胞での発現が極めて高い転写活性化補助分子が上皮細胞分岐制御を含む上皮細胞での機能を明らかにするために、CRISPR/Cas9法による当該分子の欠損マウスの作製を始動した。 また、胸腺上皮細胞の分化機構の解明に加え、胸腺上皮細胞の機能を制御する分子機構、細胞機構の解明を目指すために、T細胞の自己免疫寛容確立に重要である髄質上皮細胞分子CCL21Serを同定すると共に、生後胸腺における上皮細胞数の評価法の開発に携わった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画の通り、上皮前駆細胞が豊富な胎仔胸腺から採取した上皮細胞亜集団を対象としたトランスクリプトーム解析を実施し、生後胸腺から採取した、すでに皮質および髄質系列細胞へと分化した細胞でのトランスクリプトーム解析結果と比較することにより、複数の候補転写制御分子を抽出することができ、欠損マウス作製を始動した。また、皮質上皮細胞と共通前駆細胞での発現が高いある転写因子を欠損するマウスでは、上皮細胞の皮質、髄質系列への分岐異常は検出されなかったものの、胸腺でのCD8T細胞数が減少するという予想外の結果を得たことから、CD8陽性T細胞産生を制御する新規分子の発見に繋がると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
作製を進めている候補転写制御分子を欠損するマウスが作製出来次第、胸腺皮質上皮細胞と髄質上皮細胞への分岐障害の有無を組織解析、および、フローサイトメトリーによる1細胞解析により検討する。また同時に、T細胞分化への影響の有無をフローサイトメトリー解析により検討する。さらに、免疫不全症や自己免疫疾患など、胸腺の障害を起因とする疾患の発症の有無について検討する。また、胸腺でのCD8陽性T細胞数の減少が検出された皮質上皮細胞と共通前駆細胞での発現が高い転写因子を欠損するマウスを導入し、胸腺および二次リンパ組織におけるT細胞の詳細な解析を行うと共に、この分子を欠損する胸腺で産生されるT細胞の機能について検討を行うことにより、当該分子が胸腺でのT細胞産生とT細胞機能付与における役割について明らかにする。
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Causes of Carryover |
欠損マウスの作製を今年度に始動したが、支払いはマウスが搬入される次年度になるため、次年度使用額が生じた。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] A human PSMB11 variant affects thymoproteasome processing and CD8+ T cell production2017
Author(s)
Ohigashi I, Ohte Y, Setoh K, Nakase H, Maekawa A, Kiyonari H, Hamazaki Y, Sekai M, Sudo T, Tabara Y, Sawai H, Omae Y, Yuliwulandari R, Tanaka Y, Mizokami M, Inoue H, Kasahara M, Minato N, Tokunaga K, Tanaka K, Matsuda F, Murata S, Takahama Y.
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Journal Title
JCI Insight
Volume: 2
Pages: e93664
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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