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2017 Fiscal Year Research-status Report

シグナル伝達分子の細胞質内アセチル化によるB細胞分化機構の解明

Research Project

Project/Area Number 17K08892
Research InstitutionToho University

Principal Investigator

桑原 卓  東邦大学, 医学部, 講師 (40385563)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2020-03-31
Keywordsアセチル化修飾
Outline of Annual Research Achievements

この計画では、リンパ球の情報伝達系分子が刺激に応じてアセチル化されることに注目している。細胞質で生じるアセチル化が普遍的に生じるのであれば、伝達制御に必須の分子修飾であると期待できる。T細胞株Jurkat細胞のT細胞受容体(TCR)刺激をモデルに細胞質アセチル化が認められるか検討した。

刺激後のJurkat細胞から細胞質画分を調製し、抗アセチル化リジン抗体で免疫沈降を行った。この結果、MAPキナーゼカスケードの構成タンパク質である、MKK4とJNKのアセチル化が認められた。このアセチル化に先立って、アセチル化酵素CBPが核内から細胞質へ輸送されていることが判った。CBPの局在変化を抑制するとMKK4のアセチル化が検出されなくなった。アセチル化阻害条件下では、TCR刺激後に産生されるサイトカイン産生の低下が認められた。

T細胞株CTLL2細胞を用いて、変異インターロイキン7受容体の情報伝達を解析した。インターロイキン7刺激による受容体下流のStat5のリン酸化とアセチル化、および細胞増殖アッセイを指標に受容体機能を調べた。複数の変異受容体を解析したが、欠損する領域によって、全く細胞増殖を誘導できないものと、それほど影響を受けずに誘導するものとに分かれた。増殖能ととStat5のリン酸化能とは一致していた。細胞増殖を支持する受容体を前駆B細胞へ導入したところ、インターロイキン7刺激を伝達するがB細胞成熟を進行できる変異体と進行できない変異体とがあった。これまでインターロイキン7刺激による細胞増殖と細胞成熟は密接な関係であると考えられてきたが、この結果は、増殖と成熟は別の制御を受けていることを示唆している。増殖を支持しない変異体はStat5のアセチル化が顕著に観察された。細胞成熟とアセチル化Stat5の関係性を探る。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

B細胞をインターロイキン7刺激した際に認められる情報伝達系分子のアセチル化とB細胞成熟に関する解析が主たる目的であった。情報伝達系のアセチル化の普遍性を調べる過程で興味深い結果を得た。そのため、B細胞を用いた解析からT細胞株を用いた解析に時間をさいた。なお、時間を費やしたT細胞に関する諸検討の結果は論文としてまとめた。

B細胞に関する検討は当初の予定に比べるとやや遅いように感じるが、時間を必要とする遺伝子改変マウスの作製手配は済ませている。また、本来の目的に必須の条件検討も概ね済ませているので、大きく遅れているとはとらえてはいない。

Strategy for Future Research Activity

B細胞の成熟過程は、共通リンパ系前駆細胞→プレプロB細胞→プロB細胞→プレB細胞→未熟B細胞の順で進行する。この過程をインターロイキン7(IL-7)がサポートしている。IL-7受容体(IL-7R)は、α鎖と共通γ(γc)鎖のヘテロ二量体で構成されている。ここまでの検討から、α鎖の特定領域欠損変異体とγc鎖で構成された受容体は、IL-7シグナルを伝達するがB細胞成熟を支持しないことが判ってきた。骨髄中の前駆細胞やプロB細胞株Ba/F3細胞へウイルスベクターを用いて変異IL-7Rα鎖を導入する。この変異IL-7Rが成熟過程のどの段階で止めているかを明らかにする。B細胞成熟が停止する一方で、情報伝達分子のStat5のアセチル化が亢進していることを見出している。アセチル化Stat5の機能とB細胞成熟停止の関係を明らかにすることを通じて、アセチル化が制御するB細胞成熟過程を考察する。

細胞を用いた解析をしている間に、IL-7Rα鎖の領域欠損マウスの交配を進める。このマウスを用いて、in vivoでのB細胞成熟の状態を解析する。B細胞への分化に必須の遺伝子群(Ikarosやearly B cell factorなど)の発現状況や、多系統への分化状況を中心に解析する。

Causes of Carryover

作製依頼中の遺伝子改変マウスの支払いが2017年度を予定していたが、2018年度にこれを支払うため。
マウスが順調に殖えると解析実験数が増す。
具体的にはリンパ球成熟度を調べるための抗体や、アセチル化タンパク質検出試薬などを購入する。

  • Research Products

    (4 results)

All 2018 2017

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results,  Open Access: 1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Acetylation regulates the MKK4-JNK pathway in T cell receptor signaling2018

    • Author(s)
      Matsui Yukihide、Kuwabara Taku、Eguchi Toyonobu、Nakajima Koichi、Kondo Motonari
    • Journal Title

      Immunology Letters

      Volume: 194 Pages: 21~28

    • DOI

      doi.org/10.1016/j.imlet.2017.12.002

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Regulation of T-Cell Signaling by Post-Translational Modifications in Autoimmune Disease2018

    • Author(s)
      Taku Kuwabara、Yukihide Matsui、Fumio Ishikawa、Motonari Kondo
    • Journal Title

      International Journal of Molecular Sciences

      Volume: 19 Pages: 819~819

    • DOI

      doi:10.3390/ijms19030819

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] 自己免疫マウスにおける実験的自己免疫性脳脊髄炎耐性機構の解析2017

    • Author(s)
      桑原卓、安井優太郎、石川文雄、秋葉靖、内藤拓、田中ゆり子、近藤元就
    • Organizer
      第40回日本分子生物学学会年会
  • [Presentation] T細胞受容体刺激によるCBPの核外移行と遺伝子発現への影響2017

    • Author(s)
      松井幸英、桑原卓、近藤元就
    • Organizer
      第28回日本生体防御学会学術総会

URL: 

Published: 2019-03-07  

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