2020 Fiscal Year Annual Research Report
Cytoplasmic acetylation regulates signal transduction and B cell development
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17K08892
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
桑原 卓 東邦大学, 医学部, 准教授 (40385563)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アセチル化 / B細胞分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗体はB細胞から産生され、抗原特異的な異物排除を行う獲得免疫系の重要な構成要素である。このB細胞は骨髄で造血幹細胞から分化する。成熟過程には骨髄中の様々な因子が必要であるが、インターロイキン-7(IL-7)はその1つである。IL-7刺激を伝えるIL-7受容体(IL-7R)はIL-7Rα鎖と共通γ鎖のヘテロ二量体で構成される。IL-7Rα鎖の細胞質内領域にあるチロシン残基(Y449)は下流の情報伝達分子Stat5の結合部である。IL-7が結合するとStat5は活性化してIL-7Rを離れて核へ移行し転写因子として作用する。
Y449以外の機能的モチーフを探索する目的で、IL-7Rα鎖の細胞質内領域を幾つかのセグメントに分け、それぞれの欠失変異体を作製した。IL-7Rα鎖欠損マウスから調製した前駆細胞へ各変異体を導入した。IL-7依存性のStat5のリン酸化、細胞増殖、およびB細胞への分化といった3つの指標について解析した。多くの変異体で、3つの指標の全て正常かあるいは全て異常を示したが、ある領域の欠損変異体だけはStat5のリン酸化が生じるが、細胞増殖と成熟が障害されていた。Stat5について調べたところ、リン酸化だけでなくアセチル化されている事も判明した。アセチル化が増殖や成熟に関与することが示唆された。
IL-7によるStat5の活性化と細胞増殖はB細胞成熟過程で同時に生じるとされてきた。今回見出したIL-7Rα鎖欠失変異体による結果は、これまでの事実とは異なるため新しい制御系の存在を物語る。欠失領域に未知の複合体が結合しており、これがB細胞成熟を調節していることが考えられる。一連の制御系を明らかにすることが今後の目的である。研究成果の一部をまとめて投稿し現在審査中である。
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