2020 Fiscal Year Research-status Report
臨床倫理コンサルテーション普及のための課題解決の確立
Project/Area Number |
17K08906
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
瀧本 禎之 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 准教授 (00396699)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 臨床倫理 / 倫理的ジレンマ / 苦情対応 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、臨床倫理コンサルテーションを臨床倫理委員会で実施している施設に対して、オンライン及びメールにてスーパーバイズを実施し、その効果について検証を行なった。結果、スーパーバイズは、臨床倫理コンサルテーションの質を改善させることに有効であることが、明らかとなった。次に、臨床倫理コンサルテーションにおいて比較考量時の蓋然性を検討する際に参考となるように、一般市民の倫理的ジレンマへの意識調査を計画した。本年度は、一般市民457名(男性226名 女性231名)を対象に、臨床における倫理的ジレンマに対する質問紙によるweb意識調査を実施した。ジレンマは、治療拒否、ハイリスクの治療、消極的及び積極的安楽死、身体拘束、問題起こす患者への応召義務、医療に対しする意識など多岐に渡って、60問を設定した。例えば、医療をサービス業だと考える一般市民の割合は25%であり、トラブルを起こす患者を継続的に診療すべきと考える人の割合は35%、執刀医などの医師の指名を認めるべきだと考える人の割合は30%であり、多くは医療側の捉え方「医療は単純なサービス業ではない」「トラブルを起こす患者に対しては診療拒否を検討する」「医師の指名は基本受け付けない」に理解があったが、少なからずの割合で医療機関の方針と異にする人々がいることが明らかとなった。これは、医療者側に倫理的ジレンマを発生させるとともに、トラブルを発生させる元となるものであり、この意識のギャップの存在を双方が理解し、歩み寄り可能な方策をとっていくことの必要が示唆されるものであった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでに、倫理コンサルテーションに対するスーパーバイズの有効性に関する検証は終え、現在は倫理的ジレンマに対応する際の参考にするべき一般市民への意識調査も終了している。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、倫理的ジレンマに対する医師の意識調査を行い、既に実施した一般市民に対する意識調査の結果と併せてそのギャップを明らかにしつつ資料作成を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
医師向けの調査と一般市民向けの調査を分けて実施したため。翌年度の助成金と併せて医師向けの調査を実施する。
|