2018 Fiscal Year Research-status Report
Deep Learningを利用した医療手技自動評価システムの開発
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17K08917
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
狩野 賢二 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 講師 (20379689)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣瀬 誠 松江工業高等専門学校, 情報工学科, 准教授 (40367660)
岡本 覚 島根大学, 総合理工学研究科, 名誉教授 (10204033)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | モーションキャプチャー / Kinectセンサー / BLS / 姿勢解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
医療手技自動評価システムの開発するためモーションキャプチャー"Kinect”を用いて一次救命措置(以下BLS)を認識するプログラムを開発した。平成29年度は胸骨圧迫における圧迫深度および圧迫速度を認識するプログラムを開発した。平成30年度は、機械学習を用いて動作の分析を行った。胸骨圧迫の深度および速度を認識は胸骨圧迫の動作の結果であり、胸骨圧迫の姿勢が重要であると考える。胸骨圧迫の深度と姿勢の関係を調査するため、医療者および医学生34 名を対象として評価型シミュレータを用いて胸骨圧迫を行い、圧迫深度の十分群24名と不十分群10名に分類し評価を行った。十分群と不十分群の胸骨圧迫の姿勢を比較するため両者の肩幅と両肘幅の比率を検討した。その結果、十分群は肩幅0.29±0.02mに対し肘幅0.28±0.03mで肩幅に対して肘幅は0.96であった。一方、不十分群は肩幅0.28±0.02mに対し肘幅0.21±0.03mで、肩幅に対して肘幅は0.76であった。また、圧迫時における救助者の腕と疾病者の胸骨の角度(以下、圧迫角度という)について調査した。圧迫角度と胸骨圧迫深度の関係は、回帰式Y=0.249X+78.798、決定係数R²=0.169であり、圧迫角度と胸骨圧迫深度は正相関を認めた。圧迫角度が90度以下の場合は63.6%が圧迫深度5cm未満となっていた。しかし、圧迫角度が90度であっても体格が小柄の女性は、圧迫深度が5cm未満であることが多い。この場合は圧迫角度を100度とすることで十分な圧迫深度を得ることができた。この結果を第50回日本医学教育学会およびInternational Journal of Automation Technology Vol. 12No. 4で公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度の研究計画は、パターン認識手法であるsupport vector machine (SVM)を用いてBLSの手技を認識するプログラムを開発することであった。BLSの手技は、①疾病者の発見、②周囲の安全確認、③意識の確認、④応援の要請、⑤呼吸・脈の確認、⑥胸骨圧迫、⑦人工呼吸、⑧AED操作がある。これらの動作をSVMによって識別するため、BLSを十分に習得している医療者34名を教師データとした。BLS受講者14名を対象としてSVMで動作を識別した結果、評価者との一致率が83.65%であった。手技①、②、③、④、⑥はSVMでの認識率が高率であった。しかし、⑤呼吸・脈の確認および⑦人工呼吸の動作はは類似しておりSVMの誤認識が高率であった。したがって、⑤呼吸・脈の確認および⑦人工呼吸の動作は、Neural Network(NN)を用いた識別を開発することとした。NNで識別するために68名のBLS動作を教師画像とした。SVMによって解析した14名のBLS受講者のデータを、NNで再解析した結果、評価者との一致率は90.25%であり識別率が向上した。この結果から、BLS手技の①、②、③、④、⑥はSVMで識別させ、⑤、⑦はNNで識別することが効率的であると考えられた。以上の結果から、BLSの手順を自動識別するシステムの開発はほぼ順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度の研究は、BLSの手順を自動識別するシステムと臨床手技解析システムの統合した医療手技自動評価システムの開発を目指す。臨床手技解析システムとは、動画記録された臨床手技を手順毎に分割し時間と動作を解析するシステムである。従来は評価者が手順毎に開始点および終了点を目視によって指定していた。しかし、医学科OSCEなどでは学習者の人数が多く評価者の負担が大きかった。今回開発したBLSの手順を自動識別するシステムと臨床手技解析システムの統合することで手順毎に開始点および終了点を自動的に設定することが可能な医療手技自動評価システムを構築する。医療手技自動評価システムは、臨床手技の評価をするだけでなく、手技の動作を分析することで新しい指導方法を発見することも期待される。研究の最終年度として国際学会において発表およに国際学会誌に公表する予定である。
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Causes of Carryover |
平成30年度においてBLSの手順を自動識別するシステムの開発に時間を要したために資料収集が十分に実行できず旅費の一部が未使用になった。令和元年は研究最終年度であるため、欧州医学教育学会(AMEE)にて資料収集を行い、研究成果をSHHQ S3 Conference にて発表する予定である。
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Research Products
(2 results)