2019 Fiscal Year Research-status Report
日本を含む東アジアに適合する能動的学習力確立支援プログラムの開発
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17K08924
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
松山 泰 自治医科大学, 医学部, 准教授 (60458320)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
淺田 義和 自治医科大学, 医学部, 講師 (10582588)
岡崎 仁昭 自治医科大学, 医学部, 教授 (40285789)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 自己調整学習 / 職業アイデンティティ / 問題基盤型学習 / 医学教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究は文化的影響を考慮し、東アジアでの独自調査に基づき能動的学習を促す教育プログラムを確立することを目的としている。能動的学習力は「自己調整学習力(self-regulated learning: SRL)」で示す。 2017年(Med Teach.2018;40:285-95)、2018年(BMC Med Educ.2019;19:152)の研究結果を踏まえSRL促進プログラムの骨子を確立した。基盤は2週間の科目選択式臨床実習とし、a)実習前、学生に医師としての将来像を言語化させ、学生が指名した医師からのフィードバックを受け、b)学生に現在と将来の自己の違いを認知させ、そのギャップを埋めるような実習とさせ、c)実習中に指導医自らの日々の自己学習の方略をみせるようにさせた。 以上のSRL志向型実習の効果を混合研究にて検証した。自治医大の5学年地域医療臨床実習(以後rCBCC)に際し、上記a-c)の特徴を含めたSRL志向型実習の参加学生と、3つの特徴を有さない従来型実習の参加学生(各41名)の実習前後のSRLを比較した。SRLはMotivated Strategies for Learning Questionnaireで示し、15のカテゴリーの前後差を2群で比較した。また統計学的有意差がみられたカテゴリーに関して、学習日誌とインタビュー内容を質的に解析した。結果、SRL志向型rCBCCは「内在的目標志向」(p=0.005、ε2=0.096)と「批判的思考力」(p=0.041、ε2=0.051)の改善に有効であった。質的解析の結果、SRL志向型rCBCCを通じて、学生は「職業的責任」を自己学習の動機付けとし、医学知識の真正性や応用性を追求しはじめ、学習内容への批判的思考力が養われたようであった。また、診療プロセスに沿って学習内容を関連付ける工夫がみられるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定どおり、教育プログラムの骨子が固まり、プログラムによる能動的学習力(自己調整学習力)の改善効果を実証する研究も実施できた。必要なデータはそろい、解析は終了しているが、論文化のために研究実施期間の延長(2020年度まで)を申請した。 現在、論文化の作業の最終段階で、延長期間内には教育プログラムの効果について原著論文で発表できるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
論文化のために2020年度までの期間延長を行ったが、研究の実施については2019年度が最終年度である。この事業に関しては3本目の原著論文を完成させる形で一旦終了としたい。
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Causes of Carryover |
研究計画にほぼ準じて、研究は実施できた。論文化作業が間に合わず、論文化に向けての専門家へのコンサルテーション、英文校正費用、出版に関わる諸費用が未使用となり、2020年度への期間延長を申請した。2020年度内に原著論文として研究成果を発表する予定である。
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Research Products
(4 results)