2017 Fiscal Year Research-status Report
職場における合理的配慮の形成-乳がん患者と職場の相互作用
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17K08934
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
榊原 圭子 東洋大学, 社会学部, 准教授 (60732873)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 英子 聖路加国際大学, 聖路加国際病院, 部長 (50539088)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 乳がん患者の就労継続 / 職場の合理的配慮 / 従業員と勤務先のコミュニケーション / 職場風土 / 治療と仕事の両立 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、当該研究の初年度であったため、主に先行研究・参考資料などの文献収集と読みこみ、調査実施のための諸手続きを行った。 本研究の最初の3年間は、乳がんを経験した働く女性が、就労を継続するために、職場がどのような合理的配慮を提供しているのか、そこに至るコミュニケーションプロセスを聞き取り調査により明らかにする。乳がん経験者本人と、職場の担当者(主には上司)の両者にインタビューを行うが、両者に不利益が生じないような倫理的な配慮がきわめて重要であり、対象者のリクルーティング方法、説明資料などの準備を、共同研究者とともに熟考した。それを研究代表者の所属する東洋大学および共同研究者が所属し、乳がん経験者(=患者)のリクルーティングを行う聖路加国際病院の研究倫理審査委員会の審査を申請、研究の進め方に関し3か月にわたる検討を経て、承認を得た。 承認を受けて、共同研究者である山内医師と橋本看護師が、本研究にご協力いただく候補者のリストアップを行い、協力の打診を行っている。 本研究の後半では、米国に在住する乳がん経験者にもインタビューを行い、がんの治療をしながら就労継続する際の職場の配慮に関しての日米の異同を検討し、日本の職場の課題を明らかにすることも視野に入れている。米国でがん患者の心理社会的困難と対策についての研究の第一人者であるNorthwestern UniversityのPenedo教授と、本研究の意義についての意見交換を行い、米国でのインタビュー調査の際に、協力をいただけることとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は乳がん患者を対象としており、インタビューにより対象者に不利益や精神的苦痛が生じないように十分配慮することが必要である。そのためには、研究実施のプロセスや倫理的配慮の十分な検討が重要であることを共同研究者と議論し、当初インタビュー実施を予定していた平成29年度には、インタビュー準備を十分に行う期間とし、インタビューは平成30年度に行うことにした。 平成29年度には、乳がん患者が就労を継続するにあたっての困難、企業の課題についてなどの先行研究の読みこみ、研究方法の詳細検討、東洋大学および聖路加国際病院における倫理審査などの準備を行った。現在は、平成30年度に行うインタビュー調査にご協力いただく乳がん経験者のリストアップと打診を行っている。以上より、本研究はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
現在インタビューにご協力いただく候補者に打診中であり、承諾が得られ次第インタビューを実施する。インタビュー終了後に分析を行いながら、インタビューガイドを適宜修正し、継続して行う。秋までに10名を目標にインタビューを実施予定である。また、職場の合理的配慮について相談をする担当者(多くは上司)にもインタビューをお願いできるか患者に打診し、可能な場合には、担当者へのインタビューも行う。但し、患者から承諾を得られない場合にはこれは行わない。職場の担当者へのインタビュー数が十分ではない場合には、別途、研究者の持つネットワークを活用して企業の人事担当者等にインタビュー協力を打診し、がん治療と就労両立を行う際の職場の課題について聞き取りを行うことで補完する。
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Causes of Carryover |
進捗状況にも記入した通り、平成29年度にはインタビュー調査を行わず、準備期間とし、平成30年度にインタビュー調査を行うこととした。これに付随し、インタビュー協力者への謝金およびインタビュー内容の記録の文字起こしのための費用を使わなかった。これらは平成30年度に使用するものとして繰り越しをすることとした。
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