2017 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム医療実施における遺伝カウンセリングシステムの研究
Project/Area Number |
17K08942
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
堀内 泰江 公益財団法人東京都医学総合研究所, 精神行動医学研究分野, 主席研究員 (00548985)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浄住 佳美 静岡県立静岡がんセンター(研究所), ゲノム医療推進部, 研究員 (90794537)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 遺伝カウンセリング / 二次的所見 / エクソームシークエンス / クリニカルシークエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、飛躍的に進歩したゲノム解析技術は臨床応用が可能なレベルとなり、欧米ではクリニカルシークエンスの実用化の動きが急速に広がっている。一方で、網羅的ゲノム解析は、すべてのゲノム配列、エキソン配列情報を得ることができるため、当初の目的とは別に生殖細胞系列に疾患発症に関連する遺伝子変異が検出されることが想定され、その対応策が議論されている。静岡県立静岡がんセンターでは、近未来のがんゲノム医療のシミュレーションとして、当院で手術を受けたがん患者を対象に、新しいがん診断、治療技術の開発を目的としたプロジェクトHOPE(High-tech Omics-based Patient Evaluation for Cancer Therapy)という臨床ゲノム研究を進めている。がん手術検体、血液を用いた全エキソン解析を行い、生殖細胞系列における遺伝性がん関連遺伝子とACMGの二次的所見報告ガイドライン(ACMG SF v2.0)に基づく遺伝子変異の有無について確認も行っている。 これまでにゲノム情報を患者に返却するまでの院内連携・遺伝カウンセリングシステムを検討してきた。遺伝情報は血縁者間で共有されるため生殖細胞系列ゲノム変異の情報開示には細心の配慮が求められる。これまでにゲノム解析が終了した約3000名のうち生殖細胞系列ゲノム変異が認められた対象者への遺伝カウンセリング実施状況と当院の多職種連携によるIF結果開示、遺伝カウンセリングシステム構築の取り組みとその課題が明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3000例のゲノム解析を行い、生殖細胞系列において家族性腫瘍関連遺伝子変異、ACMG推奨の遺伝子において変異をもつことが明らかになった者のうち開示希望者に結果開示を進めている。 クリニカルシークエンス実施のためには、検査実施前、実施後に多くの専門知識を受診者、患者家族へ説明する必要が生じる。インフォームドコンセントの方法、想定される二次的所見についての説明、遺伝について等どのように説明を行えば理解が深まるか、クライアントの家族背景、タイミング、説明時間、説明回数、説明者、説明資料等のファクターを検討している。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在進行中の解析5000例のゲノム解析を最終結果として報告する予定。 更に、アジア各国の遺伝カウンセラーとも連携をとり、癌ゲノム医療推進における遺伝カウンセリング課題を明らかにしていく。 また、遺伝や遺伝カウンセリングについての国民における認知はまだ十分とはいえない。小中学校や市民講座など公開講座を行い国民へ発信し、国民の遺伝医療実践のための基礎知識充実を目指す。 本研究の臨床ゲノム研究における二次的所見の結果開示は,国内では前例のない試みであり,実際に結果開示を行う中で初めて見えてくる課題も多い,本研究の知見は、近未来のゲノム医療実施に向けての遺伝カウンセリングシステム確立のための一助となると考える。
|
Causes of Carryover |
本年度の計画していた資料購入費が予定よりも安価に執行することが出来たため、残額44,427円が生じた。残額は、来年度の旅費又は物品費として繰り越して使用する予定。
|
Research Products
(1 results)