2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K08958
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
三浦 克之 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (00183624)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨田 修平 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (00263898)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 線維化 / 低酸素 / UUOモデル / HIF |
Outline of Annual Research Achievements |
低酸素により誘導される転写因子である低酸素誘導因子HIFは解糖系、血管新生、赤血球増生を促進することで低酸素環境に適応するように働く。今年度は腎線維化の発症および進展時におけるHIF-1の役割について検討をした。実験にはtamoxifen誘導的にHIF-1を欠損させたマウスを用い、腎線維化病変は一側の尿管を結紮 (UUO) することで作成した。腎線維化は尿管結紮後3日目、7日目、14日目と経時的に進行した。UUO腎においてHIF標的遺伝子であるprolyl hydroxylase-3やglucose transporter-1の遺伝子発現が尿管結紮後3日目、7日目においてHIF-1依存性に亢進したが14日目には認められなかった。一方、HIF標的遺伝子で線維化促進作用のあるplasminogen activator inhibitor-1, connective tissue growth factor, Lysyl oxidase like-2, transglutaminase-2はUUO腎で遺伝子発現が亢進したが、HIF-1依存性は3日目のみに認められ、尿管結紮後7日目以降におけるHIF-1の関与はなかった。一方、腎線維化はHIF-1欠損マウスで3日目においてのみ抑制されたが7日目以降ではHIF-1欠損によっても腎線維化は影響を受けなかった。従ってHIF-1の活性化は線維化発症初期においてのみ認められること、さらにHIF-1依存的な線維化促進因子の遺伝子発現の亢進ならびに腎線維化への関与は線維化発症早期に限られることを明らかにした。しかしながらHIF標的遺伝子で血管新生に関与する事が知られるvascular endothelial growth factorの遺伝子発現はUUO腎では全経過を通じて抑制されておりHIF-1の関与は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
UUOモデルを利用して線維化病態を解析する計画で、実験条件の設定と解析に予定より時間が多くかかった。
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Strategy for Future Research Activity |
線維化誘導モデルなどの組織障害モデルを作製し,①PHD阻害剤を用いたHIFシグナルの活性化による組織の線維化の抑制および血管新生の促進効果について,その分子機序を明らかにする。線維化関連細胞および血管形成関連細胞の各細胞群におけるHIFシグナルの活性化に伴う変化を解析する。また,線維化組織の中心的細胞群である線維芽細胞と血管形成の中心的役割を果たす血管内皮細胞に焦点を当てて,それら細胞群間の相互作用についても明らかにする。また,②線維化および血管新生に関する分子群のうち,HIFの活性化によって発現および活性が大きく改善される分子群を抽出し,線維化の抑制および血管新生の促進の主要制御候補因子群として抽出する。そして,③線維化および血管新生の機能的スクリーニングシステムを確立して,候補因子群から機能性分子を同定することにより,組織リモデリングの機能性改善に向けた新規治療方針の提案を目指す。
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Causes of Carryover |
予定していた物品費に対して余剰分として20円を繰り越す。これは次年度の物品費として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)