2019 Fiscal Year Research-status Report
Epac1欠損マウスを用いた骨髄由来細胞の血管内膜肥厚促進機序の解明
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17K08976
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
加藤 優子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (50580875)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 詩子 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (70404994)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 血管内膜肥厚 / 骨髄由来細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
経皮的血管形成術では術後の再狭窄の抑制が課題である。研究代表者はExchange protein directly activated by cyclic AMP 1(Epac1)が血管の内膜肥厚を促進することを明らかにした。しかし,骨髄由来細胞を介した血管内膜肥厚の形成への役割は不明である。本研究では、血管傷害後の内膜肥厚形成における、Epac1を介した骨髄由来細胞の役割を解明し、血管形成術後の再狭窄発症予測のためのバイオマーカーの発見を目指している。 現在までに、Epac1 欠損型マウスとEpac1 野生型マウス間の骨髄キメラマウスで血管傷害モデルマウスを作製し、内膜肥厚形成度を組織学的に検討した結果、内膜肥厚全体に対して割合は少ないものの骨髄由来細胞が内膜肥厚形成に関与することが示唆された。 また、本研究を進めるための基礎となる、Epac1の内膜肥厚形成における平滑筋細胞内の分子メカニズムをさらに検討し、Akt/GSK3βを介するシグナル伝達経路にEpac1が関与することを見出し論文発表した。この論文は2019年度 第10回 日本生理学会入澤宏・彩記念JPS心臓・循環論文賞を受賞している。さらに本年度は内膜肥厚形成が初期病態である肺高血圧症例についても検討し、Enolase-1を介した細胞遊走が内膜肥厚の一因にいなっている可能性を見出し論文発表した。 今後はこれらの結果をもとにしてEpac1/Akt/GSK3βおよびEnolase-1を介する経路にも着目し、内膜肥厚形成における骨髄由来細胞の役割をさらに明らかにしてゆく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでの研究により、骨髄由来細胞が内膜肥厚形成に関与することが示唆されているが、Epac1がどのように関与するのかは明らかとなっていない。そこで今年度は先行実験で明らかになっているJAK/STAT経路に関して症例を増やし検討を加えたほか、骨髄由来細胞の局在や、Akt/GSK3β経路などの活性の変化をキメラマウスの内膜肥厚部において組織学的手法を用いて検索したが、骨髄由来細胞の局在および、Akt/GSK3β経路の変化に関しては個体差が大きく、一定の結論を得ることができなかった。一方、肺高血圧症例を用いた内膜肥厚形成に関する検討により、Enolase-1を介した細胞遊走が内膜肥厚の一因となっている可能性を見出すことができた。そこで、Enolase-1を介する経路に関しても着目し検討の範囲を広げて骨髄由来細胞の役割を検証する必要が出てきた。そのため当初の予定よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
骨髄由来細胞の局在に関して一定の結論を得ることができていないが、これは非常に重要な点であるため、検出マーカーとして使用した抗体をエピトープの異なる抗体に変更または別のマーカーを使用して再検討をおこなう予定である。また、Enolase-1を介する経路の関与も新しく着目されたことから、関連が予想されるGタンパク質共役受容体を介した経路や、受容体チロシンキナーゼを介した経路に関してもあらたに検討する。さらに内膜肥厚形成には細胞外マトリクスも重要であることから、内膜肥厚への関与が報告されているフィブロネクチン、Fibulin-1、バーシカンの発現量と骨髄由来細胞のこれら細胞外マトリクスに対する受容体の発現を検討し、これらの関連性を検証する。
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Causes of Carryover |
当初の計画にしたがい研究を行った結果、個体によるばらつきが大きく一定の傾向が得られなかった。そのため、他の異なる見地から再度アプローチする必要が出てきたため、次年度も引き続き研究をおこなう必要がある。これまでの研究により、骨髄由来細胞が内膜肥厚形成に関与することが示唆されているが、Epac1がどのように関与するのかは明らかとなっていない。そこでJAK/STAT経路に関して症例を増やし検討を加えたほか、骨髄由来細胞の局在や、Akt/GSK3β経路などの活性の変化をキメラマウスの内膜肥厚部において組織学的手法を用いて検索したが、骨髄由来細胞の局在および、Akt/GSK3β経路の変化に関しては個体差が大きく、一定の結論を得ることができなかった。一方、肺高血圧症例を用いた内膜肥厚形成に関する検討により、Enolase-1を介した細胞遊走が内膜肥厚の一因となっている可能性を見出すことができた。そこで、Enolase-1を介する経路に関しても着目し検討の範囲を広げて骨髄由来細胞の役割を検証する。骨髄由来細胞の局在に関して一定の結論を得ることができていないが、これは非常に重要な点であるため、検出マーカーとして使用した抗体をエピトープの異なる抗体に変更または別のマーカーを使用して再検討をおこなう予定である。
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