2018 Fiscal Year Research-status Report
唾液ならびに口腔内細菌叢解析に基づく腎臓病の病態評価とバイオマーカー開発
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17K08978
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中出 祐介 金沢大学, 附属病院, 臨床検査技師 (10749360)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | キラルアミノ酸 / 腎臓病 / 細菌叢 / バイオマーカー / 治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
腎臓病は依然増加し、併発する他臓器合併症により、生命予後、健康長寿の低下、医療費の増大をきたしている。本課題では、これら腎臓を中心とする全身恒常性の破たんを、細菌叢とその代謝産物の変化により評価し、新規バイオマーカーへの基盤形成を目指す。代謝産物のうち、ことにアミノ酸を、L体と光学異性体であるD体を分離し解析する、キラルアミノ酸網羅解析により検討する。この分析技術は、我々と共同研究者のみがなしえる、非常に独創性の高い分析方法である。また、血液や腸内細菌叢に比し、採取が容易な唾液中の口腔内細菌叢に着目し、メタゲノム解析を行う。これらの解析法により、進行性腎障害を中心とした恒常性の破たんに対し、細菌叢とキラルアミノ酸を用いた、新たなバイオマーカー創出への基盤形成を試みる。 今年度の実績は、腎臓と細菌叢がD-アミノ酸を介して関連していることを示唆し、原著論文にて報告した。また、腎臓と腸内細菌叢が関連することを総説でも報告した。臨床応用を目指した産業財産権としてキラルアミノ酸の腎臓病に対するバイオマーカー、治療法としての可能性に関連するもの5つを取得した。学会発表・講演も4題おこない、The 8th Chronic Kidney Disease Frontier meetingでCKD Frontier Award、第9回分子腎臓フォーラムで優秀賞を受賞した。現在、知的財産権を取得したアミノ酸に関して、現在の研究と合わせ、臨床応用へ向けてデータを蓄積している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究計画では、腎臓病患者のサンプルを目標症例数の収集、並びに解析が目標であった。現在、症例数もほぼ目標症例数に達し、細菌叢解析、キラルアミノ酸解析を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究でサンプリングした腎臓病患者の細菌叢とキラルアミノ酸の解析を完遂できるように進めている。そしてできれば、これらの成果を統合し、腎臓病で変化する細菌群並びにキラルアミノ酸の同定を試みる予定である。
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Causes of Carryover |
研究の進捗により、当初の計画と物品費、旅費などが異なるため。次年度に持ち越した研究費で、当初の予定に従い、細菌叢解析、生体サンプル解析をおこなう。実験に必要な器具などの購入にも使用する。成果発表のため、論文作成、学会発表に関連する費用にも充てる。
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