2018 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病性腎症におけるアミノ酸光学異性体発現の臨床的意義
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17K08979
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
清水 美保 金沢大学, 保健管理センター, 助教 (10547136)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 糖尿病性腎症 / アミノ酸光学異性体 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、生体内微量D-アミノ酸分析が可能となり、新規機能性分子やバイオマーカー候補として注目されている。本研究は、糖尿病性腎症の臨床評価に有用な代替エンドポイントの設定ならびに糖尿病性腎症の腎組織におけるD-アミノ酸発現の臨床的意義ならびにバイオマーカーとしての可能性を示すことを目的としている。2017年度は、2型糖尿病 456例を対象とした検討により、顕性アルブミン尿例における1~2年間で30%以上の推算GFR低下が透析導入リスクの増加と関連していたことを示し、学術論文(Clin Exp Nephrol誌)等で報告した。2018年度は、本研究に関連する臨床・病理学的検討として、2型糖尿病に伴う糖尿病性腎症の腎・心血管予後に、高血圧と腎組織における細動脈内膜肥厚が及ぼす影響を検討した。糖尿病性腎症合併を病理診断された2型糖尿病 185例を「腎生検時の高血圧」と「細動脈内膜肥厚」の有無により4群に分類し、腎・心血管予後を解析した。腎・心血管イベント発症率は、細動脈内膜肥厚を認めない群では高血圧の有無による差を認めなかったが、細動脈内膜肥厚を認める群では高血圧例で高率であった。細動脈内膜肥厚を認めない正常域血圧例を対照としたCox回帰分析では、細動脈内膜肥厚を認めない高血圧例ではリスク増加を認めなかったが、細動脈内膜肥厚を認める群では、腎複合イベント発症について正常域血圧例で3.2倍/高血圧例で5.0倍、心血管イベント発症について正常域血圧例で6.1倍/高血圧例で10.0倍のリスク増加を認めた。これらのリスク増加の有意性は、降圧薬およびレニン-アンジオテンシン系阻害薬使用の有無を含めた臨床・病理所見の調整後にも認められた。以上の成績を、学会発表(第61回日本腎臓学会学術総会、第48回日本腎臓学会西部学術大会)ならびに学術論文(J Diabetes Investig誌)等で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、2型糖尿病に伴う糖尿病性腎症の腎・心血管予後に対する高血圧の影響に、細動脈内膜肥厚が関連することを示し、その成績を学術論文(J Diabetes Investig誌)等で報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
2型糖尿病に伴う糖尿病性腎症の腎組織におけるD-アミノ酸発現の臨床的意義ならびにバイオマーカーとしての可能性を検討する。
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Causes of Carryover |
本年度の検討は、臨床・病理学的解析を中心に行った。そのため、測定用試薬の購入等について、次年度使用額が生じた。
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