2017 Fiscal Year Research-status Report
Clinical laboratory method for lipid metabolome analysis, and clinical study application
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17K08980
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
日高 宏哉 信州大学, 学術研究院保健学系, 准教授 (10362138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 友彦 信州大学, 医学部, 特任教授 (70507798)
上原 剛 信州大学, 医学部, 准教授 (80402121)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脂質プロファイル / 脂質メタボローム / 質量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
今回の研究では、これまで我々が構築した脂質プロファイル分析法を基に、臨床検査で利用可能な脂質メタボローム解析の基盤技術を構築し、その臨床応用を目的としている。 研究成果として、血清中リポ蛋白質分画中のコレステロール、トリグリセライド,リン脂質濃度の関連性を明確し、さらにアポ蛋白濃度やアポ蛋白濃度とリポ蛋白質脂質濃度比との関連性を明確にした。また、アシルグリセロール分子間の関連性も明らかにでき、血清中での脂質分子動態の様子を推定できた。これらの結果は、脂質分子間およびリポ蛋白質間での脂質分子種プロファイルの関連性を分析するのに寄与すると考えられた。 次いで、スクリーニング的に血清中の脂質分子種を分析するために、薄層クロマトグラフィー(TLC)で脂質分子クラスを分離後、質量分析のための脂質試料抽出法を検討した。これまでの一般的な方法としての目的脂質部分のゲルをかき取り脂質を抽出(かき取り法)または、ゲル切片に切断してゲルごと抽出液に浸し脂質を抽出(ゲル抽出法)と加熱転写装置を用いてTLCプレートから脂質の高分子膜へのブロッティングし、高分子膜の目的脂質部分を切り取り脂質を抽出(Far-Eastern Blot 法:ブロッティング法)する3法を比較した。抽出試料をMatrix support laser desorption ionization time-of-flight mass spectrometer (MALDI-TOF MS)による分子種分析とガスクロマトグラフィー質量分析法(GCMS)による脂肪酸組成で分析した結果、3法でのリン脂質、トリグリセライド,コレステロールエステルの脂肪酸組成は類似していたが,回収率において差が認められたため、現在改善中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、当初の予定どおりに進んでいる。脂質分子の分離調製を容易にする薄層クロマトグラフィー(TLC)とブロッティング法(加温圧力転写)の検討において、転写による脂質分子種組成比は、従来の脂質抽出法と同等の成績であるが、回収率において差がある。現在、操作条件を検討中である。これまでに完成した血液中リン脂質,総脂肪酸組成の分析プロトコールを用いて、臨床検体の脂質プロファイルの作成を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 血液中脂質プロファイリング:主要な脂質分子の分子種プロファイルをおこない、生化学データとの関連性を評価する。血清中リポ蛋白分画での分布を検討し、動脈硬化症や炎症性疾患での変動を評価する。スクリーニング結果および生化学データを踏まえて、疾患別に各分子別のプロファイルを評価し、疾患により特異的な脂質分子の変化を捉える。 2) 機能性脂質分子種プロファイル:脂質分子プロファイルで変化認められた場合、微量の脂質代謝関連産物(前駆物質と代謝産物)のプロファイルから、異常脂質代謝マップを構築する。 3) ターゲット分子と関連酵素・受容体:疾患特異的な脂質分子種(ターゲット分子)が見出された場合、その生成や代謝に係わる酵素や受容体を検索する。現在BAL-F 分析で疾患特的な脂質分子種が見出されており、その代謝産物を検討中である。 4) 乳幼児の成長と栄養との関連:牛乳や母乳などには、短鎖・中鎖脂肪酸が多く含まれており、血中脂質プイロファイルの変化と成長、栄養摂取の関連などを検索する。また、成人とのプロファイルの比較評価もおこなう。
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Causes of Carryover |
年度末に納入された試薬,消耗品が,キャンペーン等で当初の見積もりより安くなったため、差額が生じた。 次年度使用額は、平成30年度請求額とあわせて、物品費として試薬,消耗品の購入に使用する予定である。
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Research Products
(14 results)