Construction of laboratory test system to diagnose bacterial infection and to evaluate its sevirity

2017 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 17K08981
• Research Institution: Shinshu University
• Principal Investigator: 本田 孝行 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (80238815)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 松本 剛 信州大学, 医学部, 助教(特定雇用) (70600518)
• Project Period (FY): 2017-04-01 – 2020-03-31
• Keywords: 左方移動 / 感染症 / 好中球 / 白血球

Outline of Annual Research Achievements

細菌感染症は正確かつ迅速な診断が求められるが、CRPやプロカルシトニンなどのバイオマーカーは感染症以外でも上昇することがあるため、正確性に欠ける。また、血液培養は正確ではあるが、迅速性や感度という面で問題がある。そのため、感染症の診断は担当医の主観で行われ、不必要な抗生剤の投与が増加する原因となっている。白血球数と白血球の左方移動（桿状核球の割合の増加）は細菌感染症をリアルタイムに反映する検査項目であるが、現在あまり重要視されていない。しかし、発症時期が明確で、治療によって治癒した6症例のデータを解析したところ、白血球数と左方移動がリアルタイムに患者の感染症の状態を反映していることがわかった。現状で白血球数と左方移動が重要視されないのは、白血球数と左方移動は感染症の病期によって減少と増加の両方があるにも関わらず、感染症を1ポイントで観察していることと、目視による桿状核球と分葉核球の判別の精度が低いことが原因と考えられる。そこで本研究では、高度救急救命センターに5日以上入院した患者の白血球数と左方移動の検査結果を解析し、細菌感染症の診断と病状把握に左方移動が有用であるかを検証する。さらに目視による桿状核球と分葉核球の判別の精度を明らかにすると同時に、画像自動解析および自動血球計算器を使用した場合に精度を向上させることができるかを明らかにする。
平成29年度は目視による桿状核球と分葉核球の判別の精度を明らかにするために、経験年数の異なる複数の検査技師に目視と画像自動分析機で白血球分類を行ってもらい、技師間の判定の差と再現性の精度を解析した。また高度救急救命センターに5日以上入院した患者を対象として症例のデータを蓄積している。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

桿状核球と分葉核球の判別の精度の検証では、目視と画像自動分析機での精度の検証を行い、ばらつきが生じる原因がある程度明らかになった。今後、検体数や技師の数を増やして検証し、統計解析することで原因を明らかにする予定である。左方移動の有用性を検証するための症例は現在200症例まで収集しており、順次検査データを解析している。目標とする300症例にはあと2か月程度で達する予定であり、順調に進展しているといえる。

Strategy for Future Research Activity

桿状核球と分葉核球の判別の精度の検証に関しては、検体数と技師の数を増やして統計解析を行い、判定のばらつきの程度と原因を明らかにする。さらに、自動血球計算器を用いて左方移動をとらえることができるか検証する。左方移動の有用性の検証では、300症例を感染症群と非感染症群に分け、それぞれ時系列で白血球と桿状核球の割合の動きを解析する。また、感染症のマーカーであるCRP、プロカルシトニン、プレセプシンについても同様に解析し、白血球数と桿状核球の割合の動きとどのように関連しているかを明らかにする。

Causes of Carryover

次年度使用額は、平成30年度使用額と合わせて下記の１と２に使用する予定である。１．血球分類の精度の検証を検体数と技師の数を増やして検討するための技師人件費、２．左方移動と既存のバイオマーカーとの関連性を明らかにするためのCRPとプロカルシトニン測定試薬費