2019 Fiscal Year Annual Research Report
Construction of laboratory test system to diagnose bacterial infection and to evaluate its sevirity
Project/Area Number |
17K08981
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
本田 孝行 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (80238815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 剛 信州大学, 医学部, 助教(特定雇用) (70600518)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 白血球 / 左方移動 / 桿状核球 / 好中球 / 細菌感染症 |
Outline of Annual Research Achievements |
細菌感染症の診療では、治療方針を決定するために正確かつ迅速な判断が求められるが、臨床で細菌感染症の指標として使用されているCRP(C反応性タンパク)やPCT(プロカルシトニン)は、非感染性の疾患でも炎症があれば陽性になるため、正確性に欠ける。これに対して、好中球の左方移動(桿状核好中球数の割合上昇)は細菌感染症に対してリアルタイムに変動するため、細菌感染症の診断と病状把握に利用できる可能性がある。そこで我々は、左方移動が細菌感染症の診断に有用であるか検証するため、救命救急センターに5日以上入院した連続300症例を対象に解析を行った。その結果、桿状核球の割合は、感染症群と非感染症群では優位に感染症群のほうが高かった。さらにこの2群でROC解析を行った結果、感染症における桿状核球のカットオフ値は10%で、感度は73%、ROC曲線下面積は0.77となった。桿状核球と分葉核球の合計である好中球の割合で同様の解析を行った場合と比較すると、桿状核球のみの場合のほうが感度、ROC曲線下面積ともに高い値となり、好中球全体ではなく桿状核球のみの割合だけを見たほうが有用であることが示された。またPCTと比較するとROC曲線下面積はやや劣るものの、感度は同等の結果となった。さらに、敗血症と診断された症例について、白血球数と桿状核球の割合を時系列で解析した結果、白血球数は病状が回復しても一定期間高値のままだったが、桿状核球の割合は病状の回復とともに速やかに低下していることが分かった。このことから、桿状核球が細菌感染症の病状をリアルタイムに反映する有用な指標であることが示された。
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