2017 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の消化管出血を来す新疾患EFEMP1アミロイドーシスの病態解明と発症予測
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17K08987
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
田崎 雅義 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 助教 (50613402)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安東 由喜雄 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (20253742)
大林 光念 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 教授 (90361899)
山下 太郎 熊本大学, 医学部附属病院, 特任教授 (90381003)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アミロイドーシス / 老化 / 静脈 |
Outline of Annual Research Achievements |
アミロイドーシスは、蛋白質がアミロイド線維へと変化し、諸臓器に沈着することで重度の臓器障害を引き起こす疾患群の総称である。これまでに、アミロイドを形成する蛋白質として36種類が報告されている。申請者らは、消化管出血を認めた高齢患者の消化管に沈着するアミロイドから、過去に報告のない新規アミロイド原因蛋白質と考えられるEFEMP1を同定した。本アミロイドーシスの病態は明らかとなっておらず、本疾患の病態解明および診断、治療法の開発が急務である。 本研究では、EFEMP1アミロイドーシスの臨床病態を解明するとともに、本症におけるアミロイド沈着メカニズムの解明、および本症に対する発症予測マーカーの探索、同定することを目的とする。 研究計画初年度にあたる平成29年度は、過去に蓄積したEFEMP1アミロイドーシス患者の全身諸臓器の病理組織学的解析 (コンゴーレッド染色、免疫組織化学染色) を実施した。同様に、剖検組織を用いて、全身諸臓器におけるEFEMP1アミロイドの沈着頻度および分布を検討した。また、EFEMP1アミロイドーシス患者の各種生理学的、生化学的データを蓄積した。 60歳以上の剖検組織を用いたEFEMP1アミロイドの沈着頻度の検討において、大腸、小腸、胃、肺および膀胱の静脈に高頻度にEFEMP1アミロイドの沈着を認めることを明らかにした。その沈着頻度は、いずれの臓器においても年齢とともに増加することがわかった。また、アミロイドの沈着量も年齢と強い相関を認めた。EFEMP1アミロイドを認めた患者において、膵臓、脾臓などの臓器の静脈にもEFEMP1アミロイドが沈着することを明らかにした。 本解析からEFEMP1アミロイドの沈着には、加齢が深く関与していることが明らかとなった。また、本アミロイドは、他のアミロイドとは異なり全身諸臓器の静脈を主体に沈着することを突き止めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
60歳以上の剖検組織を用いたEFEMP1アミロイドの沈着頻度の検討において、大腸、小腸、胃、肺および膀胱の静脈に高頻度にEFEMP1アミロイドの沈着を認めることを明らかにした。その沈着頻度は、年齢とともに増加することが明らかとなった。また、アミロイド沈着の程度について検討した結果、アミロイドの沈着量は、年齢と強い相関を示すことがわかった。これらの結果から、老化がEFEMP1アミロイドの沈着に強く関与することが考えられた。また、EFEMP1アミロイドを認めた患者において、前述の臓器以外に膵臓、脾臓などの臓器の静脈にもEFEMP1アミロイドが沈着することを突き止めた。本アミロイドのコンゴーレッド染色像は、他のアミロイドと比べ弱陽性であり、これまで本アミロイドが同定されなかった一因と考えられた。 EFEMP1アミロイドーシス患者の各種生理学的、生化学的データを蓄積した。後に、発症予測マーカーを同定していくための準備を整えた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の2年目である平成30年度は、前年度の研究を更に発展させる。アミロイドの沈着様式には、全長蛋白質が沈着するタイプ (全長型)と酵素によって切断された断片化蛋白質がアミロイド化し沈着するタイプ (断片型)の2種類が存在する。EFEMP1アミロイドの沈着様式を解明すために、アミロイド沈着組織からアミロイドを抽出し、LC-MS/MSを用いた解析により、どの領域が沈着しているかEFEMP1のアミノ酸の配列を特定する。さらに、各種EFEMP1抗体(N末端認識抗体、C末端認識抗体)を用いたウエスタンブロッティングおよび免疫組織化学染色により検証する。剖検組織を用いたEFEMP1アミロイドの沈着頻度の検討においては、前年度と同様の解析を継続して行い、結果をまとめる。 前年度の検討より、EFEMP1アミロイドは、静脈を主体に沈着することが明らかとなったため、ヒト臍帯静脈内皮細胞株(HUVEC)を用いたEFEMP1アミロイドの毒性実験を行う。また、本解析により、老化がEFEMP1アミロイドの沈着に深く関与することがあきらかとなったため、細胞に老化を誘導し、EFEMP1の発現解析を実施する。前年度に引き続き、EFEMP1アミロイドーシス患者の各種生理学的、生化学的データを蓄積する。
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Causes of Carryover |
(理由) 購入予定であった実験物品の購入を次年度としたため。
(使用計画) EFEMP1アミロイドの沈着様式の同定に必要な免疫組織化学染色、ウエスタンブロッティング、質量分析関連消耗品およびを購入する。EFEMP1アミロイドの細胞毒性実験に必要な各種消耗品を購入する。研究成果を発表するための旅費に使用する。当初の計画に従って、研究費を用いる。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Genetic and clinical characteristics of hereditary transthyretin amyloidosis in endemic and non-endemic areas: experience from a single-referral center in Japan.2018
Author(s)
Yamashita T, Ueda M, Misumi Y, Masuda T, Nomura T, Tasaki M, Takamatsu K, Sasada K, Obayashi K, Matsui H, Ando Y.
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Journal Title
Journal of Neurology
Volume: 265
Pages: 134-140
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Sushi repeat-containing protein 1: a novel disease-associated molecule in cerebral amyloid angiopathy.2017
Author(s)
Inoue Y, Ueda M, Tasaki M, Takeshima A, Nagatoshi A, Masuda T, Misumi Y, Kosaka T, Nomura T, Mizukami M, Matsumoto S, Yamashita T, Takahashi H, Kakita A, Ando Y.
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Journal Title
Acta Neuropathologica
Volume: 134
Pages: 605-617
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Serum amyloid P component: A novel potential player in vessel degeneration in CADASIL.2017
Author(s)
Nagatoshi A, Ueda M, Ueda A, Tasaki M, Inoue Y, Ma Y, Masuda T, Mizukami M, Matsumoto S, Kosaka T, Kawano T, Ito T, Ando Y.
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Journal Title
Journal of the Neurological Sciences
Volume: 379
Pages: 69-76
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Characteristics of TTR fragmentation pattern in ATTR patients carrying various mutations2018
Author(s)
Masayoshi Tasaki, Francesca Lavatelli, Angelo M. Minnella, Marco Di Girolamo, Elena Antoniazzi, Margerita Bozzola, Giovanni Ferraro, Mario Nuvolone, Giovanni Palladini, Konen Obayashi, Yukio Ando, Giampaolo Merlini, Laura Obici
Organizer
XVIth International Symposium on Amyloidosis
Int'l Joint Research