2018 Fiscal Year Research-status Report
甲状腺濾胞内Tgによる濾胞機能feedback調節機構の解明と臨床的意義の検討
Project/Area Number |
17K08990
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
石藤 雄子 帝京大学, 医療技術学部, 研究員 (90772997)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 幸一 帝京大学, 医療技術学部, 教授 (20206478)
Luo Yuqian 帝京大学, 医療技術学部, 研究員 (20772990) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 甲状腺 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究目的は、甲状腺の内分泌機能に対するサイログロブリン(Tg)を介した調節機構について明らかにすることである。Tgは、甲状腺ホルモンの基質となるタンパクであり、それ以外の役割について詳細な検討はされてこなかった。我々は、Tgが甲状腺刺激ホルモン(TSH)の作用と拮抗して甲状腺内分泌機能を調節していることを明らかにした。つまり甲状腺は、それ自身が作るTgによって甲状腺内分泌機能に対するautocrine negative -feedback機構を持つ。 このようなTgの作用に関して、受容体やその下流のシグナル伝達経路は不明なままである。また、サイログロブリンの持つ作用が甲状腺機能異常症に対してどのように作用しているのかについても不明である。甲状腺の機能異常症に関しては、ヨード摂取量の多寡や自己免疫以外の発症要因は解明されていない。そのため、Tgによる調節系を明らかにすることは、これまでの甲状腺機能異常症の新たな病因解明に繋がる可能性がある。 我々は、ラット甲状腺細胞FRTL-5にTgを処理して、DNAマイクロアレイを用いた網羅的な発現解析を行い、甲状腺内分泌機能に関与する可能性のある遺伝子群について解析を行っている。その中で今年度は、濾胞内においてTg分子のチロシン残基に有機化されて形成されるモノヨードチロシン(MIT)とジヨードチロシン(DIT)が縮合して、甲状腺ホルモンであるトリヨードサイロニン(T3)とサイロキシン(T4)が合成される際に、使用されなかったMITとDITから脱ヨード反応によってヨードを再利用するための酵素であるDehal1の発現がTgによるネガティブフィードバック調節を受けていることを解明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度には、Tgの加水分解に必須であるカテプシンHの発現と機能がTgによるネガティブフィードバック調節を受けることを明らかにし、2年度目は、甲状腺ホルモン合成に使用されなかった有機化ヨードを脱ヨード作用により回収して再利用するための酵素であるDehal1の発現もTgによる自己調節の制御下にあることを解明することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
Tgによって発現量が大きく変動する遺伝子が多数あることがDNAマイクロアレイ解析で明らかになり、その中に甲状腺ホルモン合成や分泌に重要な役割を果たす、これまであまり注目されてこなかった遺伝子も多く存在することが明らかとなったことから、それらの遺伝子の機能についてさらに検討を進めることが重要であろうと考えられる。
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Causes of Carryover |
(理由)少額の使用残であり、全体としては予定通り執行されている。 (使用計画)消耗品などとして計画的に使用する。
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