2019 Fiscal Year Annual Research Report
Companion Diagnostics to predict the effects of molecularly-targeted drugs on acute leukemia stem cells
Project/Area Number |
17K09005
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
東田 修二 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (80251510)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 白血病幹細胞 / 分子標的薬 / 低酸素 / HIF / NOTCH |
Outline of Annual Research Achievements |
急性白血病の治癒には、症例ごとの白血病幹細胞を複製する分子メカニズムを明らかにし、それに対応した分子標的薬を開発して、白血病幹細胞を根絶する必須がある。さらには、その薬の効果を予測するコンパニオン検査法が必要である。2019年度は幹細胞の維持に重要と考えられている低酸素状態が、白血病細胞の増殖や、白血病幹細胞の自己複製能の代替指標であるコロニー形成能に与える効果や、低酸素におけるHIFシグナルやNOTCHシグナル伝達系の蛋白の発現や活性化について研究を行い、その成果を英文論文として発表した。 急性白血病細胞を低酸素状態で培養すると、細胞増殖が抑制されるだけでなく、幹細胞性の指標となるコロニー形成能を有する細胞の複製を抑制することを実験で示した。これはこれまでの、低酸素状態が白血病幹細胞を維持するという定説の逆の結果であった。低酸素状態は、すでに知られているように、HIF蛋白の発現を亢進させたが、NOTCHの発現や活性、その下流に存在する種々のシグナル系を抑制することを見い出した。これまでHIFはNOTCHを活性化すると考えられていたが、これと逆の知見であり、前述した幹細胞自己複製抑制の分子メカニズムの一つであることが推測される。 分子標的薬のコンパニオン診断としての薬剤感受性検査を行うにあたっては、白血病幹細胞の存在する骨髄内微小環境に近い低酸素状態で実施する必要がある。本研究により、低酸素が種々の幹細胞シグナルに影響を与えることを考慮して、感受性検査法を確立させる必要があることが明らかになった。
|