2017 Fiscal Year Research-status Report
子宮頸管分泌液中のTFF検出による子宮頸部腺系病変の早期発見に関する検査法の開発
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17K09010
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
太田 浩良 信州大学, 学術研究院保健学系, 教授 (50273107)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 子宮頸部腺系病変 / TFF |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は先行研究において、正常子宮頸管粘膜にはTFF3が発現し、TFF1とTFF2は発現していないこと、一方、子宮頸部腺系病変(LEGH、頸部腺癌)ではTFF3に加え、TFF1とTFF2が高頻度に発現していることを見出してきた。H29年度は病理学的検討として、子宮内膜癌症例のホルマリン固定パラフィン切片を用いてTFFの発現を免疫組織化学的に検討し、先行研究の子宮頸部腺系病変の検討結果と合わせて総合的な解析を行うことにより、子宮に発生する腺系病変(内膜病変、頸管粘膜病変)における子宮頸管分泌液中のTFF測定の意義とその診断法への応用を検証した。免疫組織化学的検討により、以下の結果を得た。 1.正常子宮内膜においては、性周期に関係無く、TFF3の発現がみられ(87%)、TFF1とTFF2は発現していない。 2.子宮内膜癌においては、TFF3は高頻度に発現がみられ(80%)、TFF1の発現頻度は低く(13%)、その発現は部分的で、TFF2の発現は認められない。 また、子宮頸管分泌液100検体のTFF測定を実施し、以下の結果を得た。子宮頸管分泌液中のTFF1値とTFF2値には強い正の相関(r =0.7246、p<0.001)が、また、TFF1値とTFF3値には弱い負の相関(r=-0.2250、p=0.0267)がみられ、一方、TFF2値とTFF3値には相関は認められなかった(r=-0.0408、p=0.6867)。 以上の結果より、子宮頸管分泌液中のTFF1およびTFF2は主として子宮頸部腺系病変を反映しており、子宮頸管分泌液中のTFFの測定は子宮頸部腺系病変の診断に有用であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
子宮頸管分泌液には子宮内膜からの分泌物も混入しているものと考えられるが、H29年度の検討から、子宮頸管分泌液中のTFF1およびTFF2は主として子宮頸部腺系病変を反映していることが示され、子宮頸管分泌液中のTFF測定の子宮頸部腺系病変診断法への応用の研究の妥当性が検証された。
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Strategy for Future Research Activity |
1.子宮頸管分泌液の症例収集を進め、子宮頸管分泌液中のTFF値と子宮頸部病変との相関を調べ、子宮頸管分泌物中のTFF測定の、子宮頸部腺系病変診断法への応用を検証する。 2.病理検査用の組織検体が利用可能な症例については、病理組織像、免疫表現型およびTFFの免疫染色結果と子宮頸管分泌液中のTFF値との比較検討を行う。
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Causes of Carryover |
当初計画で見込んだよりも安価に研究が進んだため、次年度使用額が生じた。 次年度使用額は平成30年度請求額と合わせて消耗品費として使用する予定である。
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