2017 Fiscal Year Research-status Report
Exosome microRNA in patients with hemorrhagic fever
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17K09020
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
梅村 創 国際医療福祉大学, 国際医療福祉学部, 教授 (90136432)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永沢 善三 国際医療福祉大学, 福岡保健医療学部, 教授 (80706820)
佐藤 謙一 国際医療福祉大学, 福岡保健医療学部, 講師 (90505687)
福島 伯泰 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 准教授 (20346894)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | エクソソーム / マイクロRNA / 出血熱 / バイオマーカー開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度の研究において、以下の知見を得た。 1.循環エクソソーム抽出法:正常対照者の血清を用いて、通常の遠心分離後フィルタ濾過を行った後、超遠心法、市販の抽出キット(ExoQuick Exosome Precipitation kit)で比較検討した。 2.エクソソームマイクロRNA抽出法:血清より純化・収集されたエクソソームのマイクロRNAは、カラム法、有機溶媒抽出法で比較検討し最適の抽出条件を決定した。マイクロRNA抽出の比較はmiR-451、miR-223、miR-16など循環エクソソームに豊富に含まれているマイクロRNAを測定することにより行った。 3.症例における解析:エクソソームマイクロRNA解析の基礎検討として、臨床症例120例の残余血清を用いて採血時溶血の影響を検討した。414nm吸光度によるヘモグロビン測定と、採血時溶血により赤血球から放出されるmiR-451を測定すると、120例全例において溶血の存在が確認された。血清マイクロRNA解析においては採血時溶血による血球由来マイクロRNA混入の影響を排除する方法の確立が必要と結論した。また、異型リンパ球症の血清マイクロRNAプロフィールは、特徴的に変化している知見を得た。さらに、動脈硬化進展度を評価する頸動脈超音波検査所見と循環マイクロRNAの相関を解析し、特定のマイクロRNAの変動が動脈宗か所見と相関することを見いだした。これらの成果は第64回日本臨床検査医学会学術集会、および第7回国際医療福祉大学学会で報告した。現在論文投稿準備中である。 4.タイ国ウボンラチャタニー大学のDr. Surasak Wanramを訪問研究者として受け入れ共同研究を開始した。タイ症例、10例の血清マイクロRNA解析を実施した。平成29年8月11日には、梅村が同大学を訪問し招聘講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
(理由) エクソソームマイクロRNA解析法の開発に関して、エクソソーム分離法、マイクロRNA解析法の基礎検討によるデータを蓄積した。エクソソームマイクロRNAのChip法による網羅的解析に必要な装置、試薬を整備した。予定していた基礎的検討の他に、臨床症例での解析、成果発表、国際共同研究のスタートなど、当初実験計画を超えて進呈した。症例の解析においては、120例の血清マイクロRNA解析により、採血時溶血がマイクロRNA解析のデータを大きく修飾する知見を得て、日本臨床検査医学会および第7回国際医療福祉大学学会、第64回日本臨床検査医学会学術集会で報告した(論文投稿準備中)。また、異型リンパ球症の血清マイクロRNAプロフィールは、特徴的に変化している知見を得た。ウイルス感染症の治癒と共に正常に復帰し、マイクロRNAのプロフィール解析が有用なバイオマーカー開発に繋がることが示唆された。さらに、動脈硬化進展度を評価する頸動脈超音波検査所見と循環マイクロRNAの相関を解析し、特定のマイクロRNAの変動が動脈宗か所見と相関することを見いだした。タイ国研究者(マヒドン大学:Dr. Suthat Fucharoen、Dr. Supat Chamnanchanunt、ウボンラチャタニー大学:Dr. Surasak Wanram)と共同研究体制を構築し、タイ国における出血熱症例解析の体制を整備した。 関連するマイクロRNA解析について3編の論文を発表した。外国での招聘講演を含めて計7回の学会発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
1)採血時溶血のエクソソームマイクロRNA測定への影響の解析が必要である。血球内エクソソームマイクロRNAを網羅的解析により把握し、採血時に破壊された血球由来マイクロRNAと、疾患により変動した循環マイクロRNAの鑑別方法を確立する。 2)タイ国における出血熱(主にデング出血熱)の解析を可能とする目的で、タイ研究者へのエクソソームマイクロRNA解析の技術移転を行う。 3)我が国における出血熱の症例を収集する目的で研究者ネットワークを拡大する。具体的にはAMEDへの申請を通してネットワークを形成する。 4)得られた基礎的検討の成果を論文・学会発表する。
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Causes of Carryover |
次年度で開催される国際シンポジウムでの招聘講演の準備にあたり、追加実験、海外渡航費が必要となったため。
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Research Products
(11 results)